鉄道駅やショッピングモールなど、中国の公共空間を埋める
時間課金式のシェアマッサージチェア
中国でもモバイルが安くなり、キャッシュレス決済が普及し、シェアサイクルを初めとして、さまざなシェアサービスが誕生した。
日本でも空港などで見かける課金式のマッサージチェアもそのうちのひとつだ。ショッピングモールや鉄道駅、映画館といった場所に設置され、機器に付いたQRコードをスキャンして、料金を支払うとサービスがスタートする。マッサージは安価な5分10分からゆっくりできる30分までいくつかのモードが用意される。
登場から5年以上経過し、電源が抜かれただのイスと化したマッサージチェアや、お金を払わずただ座るだけの人が占拠する場面をよく見かけるようになったのだが、それでもシェアマッサージ機自体は生き残り、今もなお公共の場所をシェアマッサージチェアが埋め尽くす状況が報じられるとともに、中国大手企業数社による総出荷数は100万台を超えたという話もある。現在も「シェアマッサージチェアはシェアエコノミーの中で数少ない生き残りのサービスだ」と紹介されている。
もっとも初期の盛り上がりから5年以上経過すれば、シェアマッサージチェアも進化が進んだ。休憩しながらスマホの充電もできたり、心拍数を測定するだけでなく、血圧計のように血圧や血中酸素、動脈硬化を測定できる健康チェック機能、お金を払わずただ座る人に対し、「立ち上がってください、他の人にサービスを譲ってください」と音声で警告を発する占有防止機能などが、最近の機種には付いている。
シェアマッサージチェアのブランドは大小さまざまな企業があるが、栄泰健康による「摩摩da(daは口へんに達)」や、非製造メーカー発の「楽摩ba(baは口へんに巴)」が特にシェアが高い。シェアマッサージチェアとシェアサイクルの違いは数あるが、摩摩daに関して言えば、導入すればするほど親会社の製品の出荷台数は増えるし、利用者が増え、認知してくれる人が増えればマッサージチェア自体も買ってくれる。
それもあって設置には積極的で、運営企業は機器を、モール側は場所をそれぞれ無料で提供し、双方が売上を分かち合うというモデルや、人の動線がある場所では運営企業がテナントの賃料を払うケースもある。
製品の交換サイクルは3~5年で、それまではモールや駅を清掃するスタッフに小遣いを渡しておけばキレイにしてくれる。シェアサイクルやシェアバッテリーよりは故障率が低く、維持費や運営費もあまりかからないこともあり、空間を所有するモールや鉄道駅としては旨みのある話に聞こえるわけだ。
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