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Open Infrastructure Summit 2023の報告やデンソーのアジャイル開発事例の講演も

運用の新時代を掲げる「Cloud Operator Days Tokyo 2023」は8月21日から

2023年07月21日 11時30分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 クラウド運用者を対象にした技術イベント「Cloud Operator Days Tokyo(CODT) 2023」が、8月21日から9月14日まで開催されることが発表された。4回目の開催となる今年のテーマは、「運用の新時代 ~Effortless Operation~」。会期中に約2500人の参加を見込んでいる。

2週間のオンデマンド配信で、約60のセッションが用意

 約2週間に渡るオンデマンド配信期間では、運用苦労話、運用自動化(DevOps、CI/CD、IaC)、コスト管理、OpenStack、監視・ログ・オブザーバビリティ、パブリッククラウド運用(AWS、Azure、GCPなど)の6つのカテゴリーにおいて、49件のセッションが配信されるほか、スポンサーセッションや主催者企画セッションなどを含めて、約60のセッションを用意し、いつでも自由に視聴できる。ヤフーやJCB、セブン銀行、NTT東日本、LINE、Google、スクウェア・エニックスなどの講演が予定されており、発表される体験談は過去最大の応募数があったという。

今年のセッション

 また、9月14日には、ワンデイオフラインクロージングイベントを、東京・台場のdocomo R&D OPENLAB ODAIBAで開催。OpenInfra Foundationの主要メンバーによる基調講演や、ぐるなびによる講演、Unpluggedセッションのほか、「輝け!クラウドオペレーターアワード」の表彰も行なわれる。

 イベントは事前登録制で参加は無料。7月下旬から申し込みができる。イベントの内容は、2023年10月以降、アーカイブ配信される予定だ。

 日本OpenStackユーザ会会長であるNTTの水野伸太郎氏は、「セッションは、クラウドの実運用に携わる技術者の体験談によって構成されている。昨年に比べて、AWSの活用やセキュリティに関するセッションが増加している」とした。

Open Infrastructure Summit 2023の報告

 今回の説明会では、2023年7月に、カナダのバンクーバーで開催された「Open Infrastructure Summit 2023」の報告とともに、クラウドの最新事情として、デンソーによる「Cloud JourneyとDENSO cloud & agile dojo。それを支えるIaC」と題した講演も行なわれた。

 OpenStack Summitの時代から22回目を迎えた今年のOpen Infrastructure Summit 2023は、2023年3月にリリースされた27番目のAntelopeを中心にした最新情報が共有された。

 Cloud Operator Days Tokyo 2023実行委員長であるAXLBITの長谷川章博氏は、「OpenStackの活用方法に加えて、ZUULやKubernetes、Cephといった関連するOSSプロジェクトとの連携が重視される内容が増え、イベントの役割が変化してきていることを感じた。より深い、特定用途ごとのセッションが増加した印象が強い」などと振り返った。

Cloud Operator Days Tokyo 2023実行委員長の長谷川章博氏(AXLBIT)

 また、同じくイベントに参加したCloud Operator Days Tokyo 2023実行委員であるLINEの谷野光宏氏は、基調講演に登場したキーワードを分析。「KataやLOKI(Linux, OpenStack, Kberenetes)、Security、StatlingXといった言葉がよく出てきている。Kataコンテナによる強固なセキュリティの提供や、ビジネスに重要なクラウド環境をLOKIで構築したり、エッジ用途のクラウド環境を構築するソフトウェアとしてStaringXが紹介されたりといったセッションにも注目が集まっていた」と報告した。

Cloud Operator Days Tokyo 2023実行委員の谷野光宏氏(LINE)

 さらに、欧州およびアジアにも、Open Infrastructure Foundationの拠点を設置する計画が発表されたことも報告。アジアではシンガポールに設置するという。ここでは、アジアでは23社の参加企業のうち、日系企業が2社であるのに対して、中国企業が13社を占め、Open Infrastructure (OpenStack)に対する中国企業の関心の高さを指摘しながら、「この分野における日本と中国の差が生まれることが懸念される」(長谷川氏)と述べた。

中国企業の存在感大きい

デンソーがクラウドサービスでの開発を披露

 続いてクラウドの最新事情として、デンソーのクラウドへの取り組みについて説明が行なわれた。

 デンソーでは、2017年4月に、クラウドサービスを開発から運用までを一気通貫で担当する組織としてデジタルイノベーション室を発足。伝統的な製造業のなかに、デジタルネイティブのスタートアップ企業のような仕組みを用いて、ビジネス開発などにも取り組んできたという。これまでに、スマホを利用して運転をスコアリングし、安全運転を対する意識を向上する「yuricago」や、PoCに必要な環境を短期間で実装できる「D-toto」を開発してきた経緯がある。

開発してきたアプリ

 デンソー クラウドサービス開発部部長の成迫剛志氏は、「トヨタ生産方式で示された7つのムダの排除は、アジャイル開発で目指しているものと同じである。日本の製造業とアジャイル開発はDNAが一緒であり、相性がいい。また、ジャスト・イン・タイムとニンベンの付いた自働化というトヨタ生産方式の2本柱は、Infrastructure as Code(IaC)に通じるものがある。」と述べる。

 また、「デンソーでは、Terraformを使用している。使用事例が多く、マルチクラウド対応が可能な点などにメリットがある。IaCにより、コマンドだけでインフラを自動で構築でき、ヒューマンエラーのリスクがないこと、複数環境で同じ構成を確実に構築できること、コードを見ればどんなクラウドサービスであり、どんな設定で構築しているかがわかること、コードで残っているため複数のプロジェクトで使えるという恩恵が生まれる。本番サービス運用や、 開発および検証環境での利用のほか、技能五輪の参加者が、いつでも素早く初期環境をセットアップできるようになったり、社内クラウドコンテストにおける初期環境のセットアップが短時間に行えるといった使い方もできたりする。クラウド企業でなくても、IaCを使いこなす必要がある時代が訪れている」とした。

デンソー クラウドサービス開発部部長の成迫剛志氏

 また、「アジャイル開発を推進し、プロジェクトが増加すると、開発者育成が課題となった。そこで、内製の開発者育成プログラムとして、DENSO cloud & agile dojoを開始。体系化したカリキュラムにより、教育を効率化する仕組みを用意した。より実践的な内容を扱うことが、クラウド技術者育成を内製化する上でのこだわりであり、これはITベンダーにはできないカリキュラム内容であると自負している」と述べた。

カリキュラム

 DENSO cloud & agile dojoでは、ソフトウェア開発者を対象にスクラムによるアジャイル開発手法を体感する1週間の研修コースと、ソフトウェア開発未経験者を対象にリスキリングをサポートする2カ月間のブートキャンプコースを用意。参加者は毎日8時間をDENSO cloud & agile dojoに費やすという徹底した仕組みを採用。現在はグループ会社の社員も対象にしているという。

 これまでに32人が参加しており、受講者のほぼ全員が、期待を上回る効果を実感し、モチベーションが高まったと回答。全員が周りに受講を勧めたいと回答しているという。

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