全国のつけめんブームの一翼を担う「つけめんTETSU」を立ち上げた小宮一哲氏は、運営企業を売却後も様々に活躍中。
今回はそんな小宮氏が立て続けに展開する話題のラーメン店を紹介する。
■打ち立て麺にこだわる「ナポレオン軒」
都立大学駅近くのガード下に「釜玉中華そば ナポレオン軒」が開店したのは2022年3月。「打ち立て麺の美味しさを最大限に活かす麺料理を作りたかった」との事。
打ちたての太縮れ麺を活かすために、スープは少なめ。「油そば」や「まぜそば」のタレとは違い、鰹出汁や醤油などの豊富な食材を煮詰めた濃厚な出汁で、旨みを強く感じながら、麺の存在感を邪魔しない。具は胡椒を和えたネギと生卵とシンプルで、「チャーシューやメンマは「リッチ」トッピングすると乗ってくる。
さらにオススメのトッピングである「玉袋」は、柚子の香りを纏わせた油揚げに半熟味玉が入ったもの。
主役はもちろん打ち立て麺。うどんのように太いが、実際に手打ちうどんと同じ製法で作られているとの事。縮れもあって、啜れば口や喉の中に麺の旨みが広がる。
ネギや生卵をかき混ぜながら味の変化を楽しめるが、更なる変化を楽しめるのが、卓上のトッピングや調味料の数々。さっぱりさせたければ「椎茸酢」、辛くしたいなら「バカニラ」など、その時の気分で味付けを変えられる。
釜玉中華そば ナポレオン軒 都立大学店
住所:東京都目黒区中根1丁目5-1
営業時間:11時00分~15時00分、17時00分~23時00分
定休日:なし
※最新情報は公式SNSをご確認ください
さらに、そんなナポレオン軒の2号店が、京急蒲田駅近くの商店街「あすと蒲田」に開店したのは2022年11月。祐天寺で打ちたての麺を食べてもらうため、届けられる範囲で店舗を探していたとの事。
そして今回、こちらに伺ったのは、都立大学店で食べ忘れたものがあったから。
それを食べるために、まずはネギが「辛ネギ」になった「辛ネギ釜玉中華そば」を注文。ピリ辛で食べやすい。
そして、今回のお目当ての替玉を注文。釜玉中華そばの「太縮れ麺」に対して、替玉は「細ストレート麺」。そしてなんと替玉なのに濃厚な煮干し出汁が結構入っている。釜玉の麺を啜って残ったスープに、替玉を煮干し出汁ごと入れるスタイルで、煮干しが加わる事で味が変化し、麺も変わって楽しめる。
開店してまだ一年ほどだが、まだまだナポレオン軒の快進撃は続く。2023年4月にJR・東急側の蒲田駅西口に「東急蒲田店」がオープン。さらに2023年5月に栃木県佐野市の国道50号沿いに「佐野店」が開店した。
ちなみに佐野店を手掛けるのは、地元の人気店「麺屋ようすけ」の田邊店主。これには理由があって、ナポレオン軒の麺は小宮店主と田邊店主が共に作ったものだという。青竹打ちで知られる佐野ラーメンの地でも、「釜玉中華そば」が話題になるのは間違いない。
釜玉中華そば ナポレオン軒 東急蒲田店
住所:東京都大田区西蒲田8丁目2-1
営業時間:11時00分~15時00分、17時00分~23時00分
定休日:なし
※最新情報は公式SNSをご確認ください
■ナポレオン軒から派生した「深だし中華そば」
そして、ナポレオン軒からは、さらに新しいスタイルも誕生している。
それが「ナポレオン軒」誕生の半年後2022年9月に江戸川区の平井駅前に開店した「駅ラーメン 深だし中華そば」。こちらは先ほど紹介した「ナポレオン軒」の替玉で使用している、濃厚煮干し出汁から派生したもの。
こちらでは煮干し、鰹節・鯖節・昆布・椎茸と、豚、鶏などの動物系素材を濃縮したスープを使用。丼は一回り小さいが、濃縮した濃い味なので物足りなさはなく、太く軽く縮れた麺をプルプルと啜れる。
そして、こちらの店では食券機のボタンには見慣れないメニュー「伸ばす」がある。これはなんと「深だし」を、鶏スープor鶏カレースープで伸ばしたもの。深だしにはない動物系素材が入って、じんわりとした味を楽しめる。特にカレーは程よい辛さで、ご飯とも相性がよい。
「伊蔵八」から「ナポレオン軒」、そして「深だし中華そば」へと。前の店からヒントを得て、次々と打ち出す麺は、もはや「発明」と呼んで差支えないと思う。
先日、小宮店主に「他では食べられないラーメンばかり作りますね」と訊いてみたら「他で食べられるなら、そっち行って食べるからね」と答えてくれました。「ナポレオン軒」の今後も気になるし、次にどんな味が「発明」されるか期待は高まる。
駅ラーメン 深だし中華そば
住所:東京都江戸川区平井3-30-35
営業時間:11時00分~15時00分、17時30分~23時00分
定休日:なし
※最新情報は公式SNSをご確認ください
山本剛志 Takeshi Yamamoto (ラーメン評論家)
2000年放送の「TVチャンピオンラーメン王選手権(テレビ東京系列)」で優勝したラーメン王。全国47都道府県の10000軒、15000杯を食破した経験に基づく的確な評論は唯一無二。ラーメン評論家として確固たる地位を確立した現在も年に600杯前後のラーメンを食べ続けている。
百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/)
本人Twitter @rawota
この連載の記事
-
第30回
グルメ
百麺人・山本剛志の「語りたいラーメン店」 【第30回】電車じゃ行けない千葉の名店へ!「亀喜屋」&「澪つくし」 -
第29回
グルメ
東京駅の改札内で食べられる! 新名所「グランスタ」注目のラーメン店 -
第28回
グルメ
歴史を築いた名店「麺屋武蔵 新宿総本店」が「創始麺屋武蔵」として新境地へ! -
第26回
グルメ
2020年の最新ラーメントレンド! 話題沸騰の「背脂生姜プロジェクト」を徹底レポ! -
第25回
グルメ
池袋東口に存在する3軒の「大勝軒」。それぞれのラーメンの特徴を解説! -
第24回
グルメ
ラーメン自作派が激戦区のトップランナーに!「らぁ麺 やまぐち(東京・西早稲田)」が作るオンリーワンの一杯 -
第23回
グルメ
背脂煮干ラーメンの決定版!「我武者羅(東京・初台)」の新味は驚きの超多加水麺 -
第22回
グルメ
「ラーメンアベニュー」が問いかける新しい「ラーメン集合施設」の形 -
第21回
グルメ
かつて「インスパイア系」と呼ばれた「九段 斑鳩」(東京・九段)は、今も東京の最先端にいる -
第20回
グルメ
常にどこかが新しく、変わり続ける気鋭の店「SORANOIRO」今の味を確認しよう! SORANOIRO(東京・平河町) - この連載の一覧へ