京都大学の研究チームは、フォトニック結晶レーザー(PCSEL)の連続動作状態での輝度を、CO2レーザー、固体レーザー、ファイバーレーザーなどの大型レーザーに匹敵する値まで高めることに成功。金属などの切断・加工に利用できるようにした。これまで金属の切断・加工に利用してされてきた高輝度の大型レーザーを、小型・高効率・低コストを特徴とするPCSELで一新する可能性があるとして、応用が期待される。
京都大学の研究チームは、フォトニック結晶レーザー(PCSEL)の連続動作状態での輝度を、CO2レーザー、固体レーザー、ファイバーレーザーなどの大型レーザーに匹敵する値まで高めることに成功。金属などの切断・加工に利用できるようにした。これまで金属の切断・加工に利用してされてきた高輝度の大型レーザーを、小型・高効率・低コストを特徴とするPCSELで一新する可能性があるとして、応用が期待される。 研究グループは、高出力・高ビーム品質(=高輝度)で動作可能な半導体レーザーであるPCSELを1999年に発明。以来、輝度増大に取り組んできた。今回は、フォトニック結晶内部における光波の結合状態を精密制御するとともに、制御された光波結合状態を、光加工に必須な連続動作においても維持可能な構造を導入した直径3mmのPCSELを開発。連続動作において、50W単一モード・狭ビーム出射角(0.05°)高ビーム品質動作を実現し、大型レーザーに匹敵する輝度を世界で初めて達成した。 スマート製造の分野においては、デジタル化に適した小型、高効率、低コストな半導体レーザーによる切断・加工の実現が望まれてきた。しかし、既存の半導体レーザーは、高出力時のビーム品質劣化により、高い輝度が得られないという本質的な欠点を抱えており、大型レーザーに匹敵する輝度を実現することが困難だった。 論文は2023年6月14日(オンライン版、印刷版は6月22日)付けでネイチャー(Nature)に掲載された。(中條)