オンラインフリマサービス大手のメルカリは5月25日、マイナンバーカード機能を搭載したスマートフォンを出品する際、端末の初期化手続きに加え、マイナンバーカードの失効手続きが必要となる旨の注意喚起を実施した。
本件についてはASCII.jpでも5月30日に「実は義務だった!? 中古スマホ出品時はマイナカード失効手続きを忘れずに メルカリが注意喚起」と題して紹介しているが、その後の取材で新たにわかったことも踏まえ、必要な手続きの詳細について紹介する。
Androidのマイナンバーカード機能と失効手続きの意味
Androidスマートフォンのマイナンバーカード機能とは、スマートフォン上にマイナンバーカード(物理カード)のコピーとなる「スマホ用電子証明書」を保存し、物理カードの代わりとして使えるようにする仕組み。
機能を有効にした後も物理カードは引き続き利用可能。6月6日現在、一部機能に非対応だが、今後順次対応を進め、最終的には物理カードと同様の使い方が可能となる見込みだ。
スマホ用電子証明書のセキュリティーについては、日頃スマートフォンを正しく管理し、マイナンバーカードのパスワードを他人に知られることがなければ、悪用される心配はないとされている。それでも失効手続きが義務化されているのは、万が一存在するかも知れない潜在的なセキュリティーリスクを回避するためだ。
義務化と言われると強制されているようなネガティブなイメージをもつかもしれないが、仮に義務でなかったとしても、自分の身を守るためにやっておいて損はないだろう。
故障、修理、紛失、下取りなども手続き対象に
スマホ用電子証明書の失効手続きは、故障、修理、紛失(盗難)、下取り、売却、機種変更など、端末を使わなくなったり、ユーザーの手を離れるような状況が対象となる。
なお、失効手続きは第三者による代行が認められていないため、ショップでスタッフに代行してもらうことはできない。どんなに面倒でも、自分自身で対処することが必要だ。
また、スマホ用電子証明書は端末の初期化だけでは消えないため、初期化とは別に失効手続きをしなければならない。特に下取りや売却に出す際は、うっかり手続きを忘れないよう注意したい。
スマホ用電子証明書失効手続き
スマホ用電子証明書の失効手続きについては、状況毎に多少の違いはあるが、以下が代表的なパターンとなる。
●基本的な手続き方法
まずは最も基本的な手続き方法だ。
1.マイナポータルアプリを起動し、マイページへ移動。
2.スマホのスマホ用電子証明書のメニューから失効を選択
3.失効させたい電子証明書を選び、はじめるボタンをタップ。
4.スマホ用署名用電子証明書のパスワードを入力し、失効ボタンをタップ。
5.失効完了画面が表示されたらマイページへ戻る
失効させたいスマホ用電子証明書をインストールした端末での対応が基本だが、物理カードがあれば他の端末から手続きをすることもできる。
ただし、スマホ用電子証明書を持つ端末が通信できない状態(機内モードや電源オフなど)になっていたり、既に初期化されている場合は、手続きに失敗することがあるため注意が必要だ。
●失効手続きに必要なパスワードがわからない場合
失効手続きに必要なパスワードを忘れてしまった場合、物理カードを使いマイナポータルでパスワードを再設定するのが本来の手順。
だが、単に端末内のスマホ用電子証明書を失効させたいだけなら、端末をネットに繋ぎ、マイナポータルアプリを手動で削除することで失効手続きの代わりとなる。
パスワードを忘れた時だけでなく、取り急ぎ端末からスマホ用電子証明書を削除したい時にも利用できるテクニックだ。
ただし、失効手続き前に端末を初期化してしまった場合は、こちらの方法は利用できない。
●端末を初期化したが、動作可能な状態で手許に残している場合
スマホ用電子証明書の失効前に端末を初期化してしまった場合も、比較的簡単な方法で対処可能だ。
端末を起動して初期設定を済ませた後、再度マイナポータルアプリをインストール。ネットに繋いだ状態でアプリを起動してマイページを開くことで、古い電子証明書は自動で削除される。
作業完了後は、改めて端末を初期化しておこう。
●端末が故障していたり、既に手許を離れている場合
端末が故障していたり、紛失、盗難、あるいは既に売却等を済ませ手許を離れている場合、一旦スマホ用電子証明書の利用を一時停止した後、失効の手続きをする必要がある。
一時停止についてはマイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)へ電話を掛け、音声ガイダンスに沿って進めていけば手続きが可能だ。
ただし、電話が繋がるのは国内通話のみ。海外から一時停止の手続きをする際は、国内に居る家族や代理人に代わりに電話して貰うことになる。
対応が改善するまでは、出国前にスマートフォンからマイナンバーカードを削除しておいた方が良さそうだ。
オークションやフリマサイトなどにも影響
スマホ用電子証明書の失効手続きを巡っては、ネット上で個人間取引サービスを提供する企業も対応を迫られている。
オークションサイト「ヤフオク!」を運営するヤフーは5月12日、ユーザー向けにスマホ用電子証明書に関する案内を実施。5月25日にはフリマサイト大手のメルカリも、ユーザー向けに注意を促した(関連記事)。
編集部の取材に対しメルカリは、「今回の注意喚起につきましても、従前より政府の関係部局と相談しながら準備し、情報発信するにいたりました」と注意喚起を公開した理由を回答した。
関連記事に対してSNS上での反応を見る限り、スマホ用電子証明書の失効手続きについては、義務化以前に手続きの存在自体を知らなかったという声も決して少なくない。
本件がユーザーにとって当たり前の知識となるには、まだまだ時間が掛かりそうだ。