建築家・辰野金吾が手掛けた赤レンガが美しい東京駅丸の内駅舎(1914年)の丸の内南口目の前にそびえたつJPタワー。旧東京中央郵便局舎を一部保存しつつ地上38階建のビルとして2013年に開業しました。
旧東京中央郵便局舎の一部を保存・再生させた低層階(1-6階)は商業施設「KITTE」(キッテ)として賑わいをみせています。5階にある「回転寿司 根室花まる」(2023年5月現在改装中)はピークタイム以外でも1時間待ちは当たり前の大盛況ぶりです。
開業から10年経過し、その圧倒的な立地の良さと利便性の高さからあらためて注目されているJPタワー2-3階に、誰もがあっと驚くような博物館があるのをご存知でしょうか。
日本郵便と東京大学の産学連携プロジェクトとして誕生した、学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」(IMT)です。「インターメディアテク」は、単に学術文化財を展示するだけの駅前博物館ではありません。
アート&サイエンスをキーワードに既存の資源・表現メディアを融合したある意味実験的な場となっています。商業施設「KITTE」の中にあるので、買い物や食事の後に立ち寄ると知的好奇心のスイッチが押され、ついでのつもりが知らず知らずのうちに長居をしてしまうそんな博物館がインターメディアテクです。
ドイツ語で「驚異の部屋」を意味するWunderkammer(ヴンダーカンマー)という言葉がありますが、まさに東京駅徒歩1分の場所に忽然と現出した日本版ヴンダーカンマーと言ってよい、何度行っても常に新しい刺激を受けまくるミュージアムなのです。
東京大学総合研究博物館と日本郵便がコラボしたインターメディアテクが「驚異の部屋」と称されるゆえんは、東京大学が1877年(明治10年)の創学以来、蓄積してきた総数600万点を超える学術標本や研究資料など、多種多様で貴重な学術文化財を歴史ある旧東京中央郵便局舎内の特別感あふれる空間で展示している点でしょう。
東京大学が所蔵する、動物学、人類学、古生物学、考古学、美術史・博物館工学、建築史、情報科学、展示空間デザイン、建築情報デザイン、文化資源学、博物資源学といった多岐にわたる歴史的な作品を、クラシカルな空間で定期的に展示替えや特別展を行いながら見せてくれています。全く興味関心のないジャンルのものであっても思わず惹き込まれ、いつしか写真に収めているはずです。
展示品が優れていることは勿論ですが、東京大学の学内で使われていた歴史的な什器も使われており展示に一役買っています。旧局舎の保存建築が有する東京駅の目の前とは思えない贅沢で豊かな空間は、そこに居るだけで何百年という悠久の歴史を感じることができるはずです。
歴史や記憶、学術の雰囲気が漂う唯一無二の空間である「驚異の部屋」ことインターメディアテク。東京大学総合研究博物館と日本郵便のコラボにより爆誕し、今年で10年目を迎えます。
今年から撮影可能エリアが大きく広がり、InstagramやTwitterでも多くの画像を目にするようになりました。まずはレトロフューチャーな映える写真を撮りに出かけてみてはいかがでしょうか。
驚くことに入館料は無料です!! 買い物や食事のついでに行くのは勿体ない凄い施設が丸の内南口目の前のJPタワー内にあるのです。
JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク
JPTower Museum INTERMEDIATHEQUE
開館・利用案内
開館時間:11時~18時(金・土は20時まで開館)
※上記時間は変更する場合があります。
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館)、年末年始、その他館が定める日
入館料:無料
問い合わせ:050-5541-8600
http://www.intermediatheque.jp/
https://twitter.com/IMT_Tokyo
中村剛士(なかむらたけし)
Takの愛称で「青い日記帳」主宰。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信している。goo「いまトピ」、JR東日本「びゅうたび」、「楽活」などにコラムを連載。『いちばんやさしい美術鑑賞』、『失われたアートの謎を解く』(筑摩書房)、『カフェのある美術館 素敵な時間をたのしむ』、『カフェのある美術館 感動の余韻を味わう』(世界文化社)、『フェルメール会議』(双葉社)、『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)、『美術館の手帖』(小学館)など執筆・編集。『文藝春秋』書評寄稿などの執筆活動ほか、テレビ、ラジオ出演、各種講演、イベント主催など、アートの伝道師として幅広く活躍中。
http://bluediary2.jugem.jp/
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