5月20日に発売となった「A&norma SR35」は、Astell & Kernの中ではスタンダード機種となるA&normaラインの新製品だ。価格は12万9980円。A&normaは高価なAstell & Kernブランドの中では、比較的手が届きやすい価格帯のモデルとなっている。また、コンパクトかつ軽量でありながら、他のラインアップとほぼ同等のソフトウェア機能も提供している。
クアッドDAC搭載のリッチな仕様
SR35の大きな特徴は、前モデルの「SR25 MarkII」で採用したシーラス・ロジック製のDAC IC「CS43198」を2基使用するデュアルDAC方式を進化させ、「CS43198」を4基搭載したクアッドDAC方式にしたことだ。
DAC ICを倍にすれば性能が向上するが、消費電力は大きくなる。そこでSR35では、デュアルDAC方式とクアッドDAC方式を切り替える機構を入れても、高音質と連続再生時間の両立を実現した。これが「DACスイッチングモード」だ。
また、アンプ回路も刷新して、上級機で採用された技術を投入している。操作系も「A&ultima SP3000」で採用されたばかりの「新世代のクリムゾンテーマ」のGUIに変更した。基板をシールド缶でノイズ遮蔽している点も上級機と同様だ。
このようにスタンダード機種ながら上級機種のエッセンスがフィードバックされたモデルである。2段階のゲイン切り替えも搭載しているので、スマホなどでは音圧が取りにくいヘッドホンにも対応しやすい。
ポータブルオーディオに求められる機能はほぼ網羅
機能面ではRoon ReadyとMQAフルデコード対応をはじめとして、USB DAC機能、USBデジタルオーディオ出力機能、Bluetooth伝送時のaptX HD/LDACコーデック対応、Bluetoothレシーバーとして使える「BT Sink」機能、DLNA強化のネットワークオーディオ再生機能「AK Connect」など、上級機並みの機能を備えている。
また、音楽ストリーミングサービスにも対応。「Open APP Service」機能により、本体にさまざまアプリを追加できる。ヘッドホン端子は3.5mmアンバランス、2.5mm4極のバランス、4.4mm5極のバランスと、これもフルに装備されている。サイズは幅64×16.1×高さ108.3mmで、重さは約184gである。
この連載の記事
-
第300回
AV
インド発の密閉型/静電式ヘッドホン? オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」 -
第299回
AV
夏のヘッドフォン祭 mini 2024レポート、突然のfinal新ヘッドホンに会場がわく! -
第298回
AV
ポタフェス2024冬の注目製品をチェック、佐々木喜洋 -
第297回
AV
なんか懐かしい気分、あなたのApple WatchをiPodにする「tinyPod」が登場 -
第296回
AV
逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ -
第295回
AV
NUARLのMEMS搭載完全ワイヤレス「Inovatör」(旧X878)の秘密とは? -
第294回
AV
AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許 -
第293回
AV
次世代AirPodsにはカメラが付くらしい、じゃあ何に使う?(ヒント:Vision Pro) -
第292回
AV
OTOTEN発、LinkPlayの多機能ネット再生機「WiiM」とSHANLINGの「EC Smart」を聴く -
第291回
AV
ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く -
第290回
AV
HDTracksがMQA技術を使ったストリーミング配信開始へ - この連載の一覧へ