神戸大学、リーズ大学、レスター大学の共同研究チームは、最新の木星探査観測などの知見とデータ科学的解析を基に、木星表面で広く観測されてきた数年周期の変動が深部の磁気的な波動に起因する可能性があることを示した。
神戸大学、リーズ大学、レスター大学の共同研究チームは、最新の木星探査観測などの知見とデータ科学的解析を基に、木星表面で広く観測されてきた数年周期の変動が深部の磁気的な波動に起因する可能性があることを示した。 木星表面の鮮やかな縞々模様は、その色や明るさが時とともに変化しており、近年の解析により、南緯41度から北緯33度までの広範囲で、4年から9年の周期で規則的な変動が起こっていたことが明らかになった。だが、その成因については諸説混沌としていて、広緯度にわたる数年周期性を定量的に説明できる説はこれまでなかった。 研究チームは木星がガス状の惑星であることに着目し、木星表面の大気変動が木星深部の磁気的な波動(ねじれ振動)に起因するという説を初めて提唱。米航空宇宙局(NASA)の木星探査機「ジュノー(Juno)」の磁場観測などによる最新の知見を基に理論計算をしたところ、ねじれ振動で木星表面の数年周期性を説明できることを明らかにした。 さらに、データ科学的解析法を合わせて用いることで、木星大気観測の時空間データセットから、ねじれ振動の微小なシグナルを捉えることに成功した。これらの結果は、従来の惑星大気研究の描像を転換させうるもので、この振動の特性を詳しく調べることで、直接観測できない深部領域の物理的状態を知ることができ、天体磁場形成メカニズムの解明が進むことが期待される。 研究論文は、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)のオンライン版に2023年5月18日付けで掲載された。(中條)