PCのボディもパッケージもサステナブル

ASUS 「Zenbook S 13 OLED」実機レビュー = 軽量モバイルノートも有機ELの時代なのだ!

文●写真 ジャイアン鈴木 編集● ASCII

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 ASUS JAPANは、製品本体からパッケージまでリサイクル素材を使用したサスティナブル特化モデル「ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304VA」を4月21日に発表、同日より販売開始した。

 本製品は13.3型有機ELディスプレーを採用したWindows 11搭載ノートPC。本体すべてにリサイクル素材が使われており、Zenbook史上初の「サスティナブルモデル」と謳われている。環境に最大限配慮した本機が、どのような質感を備え、そして使い勝手、パフォーマンスを実現しているのか細かくチェックしていこう。

ASUS JAPAN「ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304VA」15万9800円~25万9800円

パッケージは100%紙素材。ハンドルも紙製で、接着剤も使われていない

アクセサリーボックスはノートパソコン用スタンドとしても利用できる

CPUとオフィスアプリの異なる
4モデルがラインナップ

 「ASUS Zenbook S 13 OLED」は、OSに「Windows 11 Home 64ビット」、CPUに13世代の「Core i7-1355U」(10コア[2P+8E]、12スレッド、最大5.00GHz、15W)または「Core i5-1335U」(10コア[2P+8E]、12スレッド、最大4.60GHz、15W)を採用する。

 メモリーは16GB(LPDDR5-6400)、ストレージは512GB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載。オフィスアプリは「Microsoft Office Home and Business 2021」または「WPS Office 2 Standard Edition (3製品共通ライセンス付)」が同梱されている。つまり、CPUとオフィスアプリの異なる下記の4モデルがラインナップされているわけだ。

・「UX5304VA-NQI7WS」(25万9800円)
 Core i7-1355U/RAM16GB/SSD512GB/Microsoft Office Home and Business 2021
・「UX5304VA-NQI7W」(22万9800円)
 Core i7-1355U/RAM16GB/SSD512GB/WPS Office 2 Standard Edition
・「UX5304VA-NQI5WS」(17万9800円)
 Core i5-1335U/RAM16GB/SSD512GB/Microsoft Office Home and Business 2021
・「UX5304VA-NQI5W」(15万9800円)
 Core i5-1335U/RAM16GB/SSD512GB/WPS Office 2 Standard Edition

 このほかのスペックは共通。ディスプレーは13.3型2.8K 有機EL(2880×1800ドット、16:10)を搭載。ディスプレー上部には207万画素ウェブカメラ(Windows Hello顔認証対応)、アレイマイク(AIノイズキャンセリング対応)を内蔵。本体底部にはHarman Kardonと協業したDolby Atmos対応のステレオスピーカー(1W×2)を装備している。

 インターフェイスはThunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、HDMI×1、3.5mmコンボジャック×1を用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E(11ax)とBluetooth 5.1をサポートしている。

 本体サイズは296.2×216.3×10.9~12.3mm、重量は約1.0kg。63Whのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は約14.1時間、充電時間は約1.9時間と謳われている。

 本製品最大の特徴はリサイクル素材が使用されていること。トップカバー、LCDカバー、ボトムカバーには製造工程で発生した「PIR(Post Industrial Recycled)」素材が、キーボードキーキャップには顧客から回収された「PCR(Post Customer Recycled)」素材が、スピーカー部には海洋に投棄される恐れのある「海洋プラスチック」とPCR素材が使われている。

・トップカバー(PIRマグネシウムアルミニウムを90%使用)
・LCDカバー、ボトムカバー(PIRアルミニウムを50%使用)
・キーボードキーキャップ(PCRプラスチックを50%使用)
・スピーカー部(海洋プラスチックを5%、PCRプラスチックを45%使用)

 それでいて天板には「プラズマ電解酸化処理」が施されており、滑らかな手触り、洗練された質感を与えつつ、耐摩耗性も向上しているという。リサイクル素材が使われていても、デザインや使い勝手においてマイナスポイントはないと言えそうだ。

本体カラーは「バサルトグレー」。天板はまるで砥石のような滑らかな触り心地だ

本体底面。ボディーは米国国防総省軍事規格「MIL-STD-810H」に準拠したテストをクリア。振動、衝撃、高温、低温に保護性能を備えている

ディスプレーは13.3型2.8K 有機EL。ディスプレー上部にはRGBカメラ、IRカメラ、環境光センサー、アレイマイクなどが内蔵されているが、画面占有率は87.4%とナローベゼルを実現している

キーボードは84キーの日本語配列。パームレストなどよく触れる部分には、COVID-19、インフルエンザなどのウイルスや細菌の増殖を3年以上、約99%抑制する高密度処理「ASUSアンチマイクロバイアルガードプラス」が施されている

本体前面と本体背面。ヒンジ部にはチルトアップのためのゴム足が設けられている

右側面には3.5mmコンボジャック×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、左側面にはHDMI×1、Thunderbolt 4×2が配置

ディスプレーは最大180度まで展開可能。13.3型2.8K 有機ELは視野角が広いので、周囲を囲んで複数人で画面を見ながら作業できる

パッケージには本体、ACアダプター、説明書類(ユーザーマニュアル、製品保証書、必ず初めにお読みください、MyASUS、i-フィルター)が同梱

ACアダプターのコード長は実測199cm

ACアダプターの型番は「AD2129320」。仕様は入力100-240V~1.5A、出力5V 3A、9V 3A、15V 3A、20V 3.25A、容量65W

本体の実測重量は1048g

ACアダプターの実測重量は実測217g

薄型ながら打鍵感のいいキーボード
有機ELディスプレーはさすがの画質

 「ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304VA」には84キーの日本語キーボードが採用されている。キーピッチは実測19.2mm前後、キーストロークは実測1.0~1.1mm前後。キーストロークは薄型ノートPCということで浅めだが、キーボード面の剛性は高く、かなり強く打鍵しても大きなたわみは感じない。一部キー同士が密着している点は慣れが必要だが、快適に日本語入力できるキーボードだ。

 タッチパッドは実測130×81mmと非常に大きいが、意図せぬ操作を無効化するパームリジェクションが実装。タイピング中に親指の根元が触れても誤操作することはない。欲を言えばタッチパッドをテンキーとして利用するASUSお得意の「NumberPad」が搭載されてほしかったが、薄さ、軽さ、低コストを優先させたのだろう。

キーピッチは実測19.2mm前後

キーストロークは実測1.0~1.1mm

キーボードバックライトは明るさを3段階に調整できる

タッチパッドの面積は実測130×81mm。3本指ジェスチャーはもちろんのこと、ちょっとしたメモなら書けそうだ

 ディスプレーは13.3型2.8K 有機EL「ASUS Lumina OLED」(2880×1800ドット、16:10、輝度550cd/m²、コントラスト比1,000,000:1、応答速度0.2ms、DCI-P3 100%、Dolby Vision、DisplayHDR True Black、グレア)を搭載。また、色再現性については「PANTONE認証」、ブルーライト低減については「TÜV Rheinland認証」を取得している。

 今回、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」が正常に動作しなかったので色域を計測できなかったが、有機ELディスプレーならではの高輝度、滑らかな階調、締まった黒表現などは十分実感できた。クリエイティブワークからエンターテイメントコンテンツの鑑賞まで、幅広く活躍してくれるディスプレーだ。

13.3型2.8K 有機ELディスプレーは、鮮やかな階調表示、締まった黒表現により、写真を見ていても立体的に感じられる

自発光する有機ELは真横からでも画面になにが映っているのか容易に判別できる

「ASUS OLED Care」には、ピクセルをわずかに移動させる「ピクセルシフト」など、有機ELディスプレーの寿命を延ばすための最適化設定が用意されている

 ディスプレー上部には、RGBカメラ(約207万画素)、赤外線カメラ、赤外線ライト×2、カメラインジケーター、環境光センサー、マイク×2が内蔵。RGBカメラと赤外線カメラは独立式となっており、室内灯下でも明るく、自然な発色で、かつ高精細に撮影可能だ。

 AIノイズキャンセリング対応アレイマイクも搭載。ウェブカメラやマイクなどを接続しなくても高品質な映像&音声でビデオ会議に参加可能だ。

左からマイク、赤外線ライト、赤外線カメラ、赤外線ライト、RGBカメラ、カメラインジケーター、環境光センサー、マイクが内蔵

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDR proオン)

「ASUS AiSenseカメラ」の「照明の最適化」、「背景のぼかし」などを有効化すれば、すべてのアプリにおいてカメラのエフェクト効果を適用できる

ベンチマークで速度計測
「CINEBENCH R23」で7684ptsを記録

 最後にパフォーマンスをチェックする。今回、比較対象機種としては第12世代(Alder Lake)の「Core i7-1255U」(10コア[2P+8E]、12スレッド、最大4.70GHz、15W)/メモリー16GB(LPDDR4X-4266)/ストレージ512GB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載する「LIFEBOOK UH」を採用した。

 まずCPU性能だが、「ASUS Zenbook S 13 OLED UX5304VA」は「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)で7684pts、「CINEBENCH R20」のCPU(Multi Core)で3141ptsとなった。「LIFEBOOK UH」はR23で7527pts、R20で2891ptsだったので、ZenbookはR23で約102%、R20で約109%のスコアを記録したことになる。

「HWiNFO64 Pro」で取得したシステムの概要

用途ごとにファンスピードを設定できる。ベンチマークは「パフォーマンスモード」に設定して実施している

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は7684pts、「R20」は3141ptsとなった。

 3Dグラフィック性能については、「3DMark」のTime Spyで1759、Fire Strikeで4812、Wild Lifeで12880、「ファイナルファンタジーXIV」で7262となった。LIFEBOOK UHはTime Spyで1851、Fire Strikeで4855、Wild Lifeで13653、「ファイナルファンタジーXIV」で7228だった。

 ZenbookはTime Spyで約95%、Fire Strikeで約99%、Wild Lifeで約94%、「ファイナルファンタジーXIV」で約100%相当のスコアを記録したことになる。3Dグラフィック性能についてはやや物足りない結果となったが、ファイナルファンタジーXIVクラスのゲームであればまずまず快適にプレイできる性能を備えているわけだ。

「3DMark」のTime Spyは1759、Fire Strikeは4812、Wild Lifeは12880、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは7262(やや快適)

 ストレージ速度については、「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)で6489.13MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)で3931.42MB/sとなった。

 PCIe Gen4 x4接続のSSDを搭載しているだけに、Zenbookはリードで3587MB/s、ライトで3341MB/sであったLIFEBOOK UHを圧倒している。

ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「Micron_3400_MTFDKBA512TFH」が搭載されていた

「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリードは6489MB/s、ライトは3931MB/s

 バッテリーベンチマークについてはディスプレー輝度50%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、8時間44分動作した。最大輝度550cd/m²の有機ELディスプレー搭載機なので、当然もっと画面を暗くしても実用的な視認性を確保できる。有機ELディスプレーの恩恵をさまざまな場所で受けられるわけだ。

ディスプレー輝度50%で「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ8時間44分動作した

最高クラスの画質で快適に
長時間、PCワークしたい方にもってこい

 クリエイティブ系ノートPCで採用例の多い有機ELディスプレーだが、本製品では低消費電力、低発熱が売りのUプロセッサーと組み合わせている。つまり高画質なディスプレー環境で、PCワークのすべてを長時間こなせることを目的としたマシンというわけだ。

 実際バッテリー駆動時間は、ハードなモバイルワーカーの高い要求に応える水準だ。最高クラスの画質で長時間、快適にPCワークしたいという方に、「ASUS Zenbook S 13 OLED」はもってこいの1台である。

 

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