Japan IT Weekのセミナーで開発中の画面も披露
データを用いた企業の変革を支援する新RPA「PixisCloud for Autoジョブ名人」
提供: ユーザックシステム
ユーザックシステムはJapan IT Weekの出展社協賛セミナーにおいて開発中の新RPA「PixisCloud for Autoジョブ名人」を披露した。登壇した矢吹政之氏は、導入が一巡したRPAが次に必要とする要件とPixisCloud for Autoジョブ名人について説明。また、渡辺大輔氏は製品の画面を披露し、新RPAで実現した可視化の活用についてアピールした。
汎用性の高いRPA 人の作業の多くを自動化
「業務の自動化は次のステージへ DXを見据え、データを経営に活用する新RPA『PixisCloud for Autoジョブ名人』」というタイトルでセミナーに登壇したのはユーザックシステムのRPA事業を統括する矢吹政之氏。自己紹介に引き続き、会社紹介をスタートした。
ユーザックシステムは1971年に大阪で設立。現在は東京と大阪に本社があり、従業員は単体で140名、グループ会社含めると190名になる。もともとソフトウェア開発を手がけるSIerとして生まれたが、その後ユーザーのリクエストに応える形で1986年から「名人シリーズ」と銘打たれたパッケージソフトの開発・販売を開始する。
RPAに関しては、RPAという言葉が生まれるはるか以前の2004年から手がけており、当初はWebブラウザにかかる業務の自動化を手がけていた。現在は「Autoジョブ名人」でWebブラウザのみならず、幅広いデスクトップアプリの自動化を実現しており、「業務の自動化に関しては、19年の実績と豊富なノウハウを持っている」と矢吹氏はアピール。
続いて「RPAはどこまで組織の生産性向上に役立つことができるのか?」という本題になる。日本では2017年に「RPA元年」を迎えたと言われているが、「人に成り代わってマウスとキーボードの操作をする」というRPAの定義自体は今も変わっていない。
RPA導入で自動化された業種や業態は多く、汎用性は非常に高い。「これだけ利用範囲や対応レンジの広いパッケージはなかなかない。逆に言えば、人間がやらなくてもいいという業務がこんなにあったんだと思い知らされた」と矢吹氏は語る。そして、今後RPAは単一業務の自動化のみならず、複数業務の掛け合わせと連携で大きな効果を得られる時代になってきているという。
経営者と導入担当者のボタンの掛け違いはなぜ起こるのか?
大手企業を中心にRPA導入が一巡し、導入から時間が経つにつれ、ユーザーの悩みや課題感も変わってきているという。ユーザックシステムがユーザーの声から課題に感じているのが、「導入担当者と経営者のボタンの掛け違い」だという。
RPA導入担当者からは「成果は出ているけど、開発者は増やしてもらえない」「ライセンス追加やスキルアップに投資してもらえない」「社員のリテラシーが高くない」といった声も聞こえてくる。「現場はRPAで効果を出せる手応えを感じている。捻出できた時間で、会社にもっと貢献できるのに、そのアピールができていない」と矢吹氏は語る。
一方で、経営者は自動化の効果が見えにくいので、投資の判断が難しいという声が聞こえてくれるという。成果が見えないので、正しく評価ができない。活用の実態も把握できない。「従来のRPA製品は効果の分析、運用管理の統合、標準化などができなかった。だから、こうした結果に陥ってしまうのは当然かもしれない」と矢吹氏は語る。
経営者にとっては、喫緊の課題であるDXとRPAの関係についても気になる。これに対して、「RPAはDXを実現するツールではない」と矢吹氏は断言する。しかし、RPAは導入の経緯で業務プロセスのデジタル化を伴うため、DXのきっかけとしても有効というのが、ユーザックシステムの持論だ。そのためには両者のボタンの掛け違いを早期に解消し、自動化を推進すべきだという。「われわれは業務の自動化が当たり前になる文化を創っていきたい」と矢吹氏は語る。
自動化の実現を超えた一歩先を行く「PixisCloud for Autoジョブ名人」
自動化を当り前の世界にし、DXに貢献できるRPA製品として、ユーザックシステムが開発した新しいAutoジョブ名人が「PixisCloud for Autoジョブ名人」になる。Pixisとはラテン語で「羅針盤」を意味しており、DX化という大海原に航海するユーザーの羅針盤になる製品という意味でネーミングされているという。
クラウド管理機能を搭載したPixisCloud for Autoジョブ名人は、デスクトップ型のAutoジョブ名人の動作をダッシュボードに表示することが可能になる。これにより、自動化の効果はどれくらいなのか? どんな業務が自動化できるのか? 自動化の工数はどれくらいか?などを見積もることができるという。「自動化する際のポイントがわかれば、業務のボトルネックも理解できます。また、ほかの部署でも同じように適用できることもわかります」と矢吹氏は語る。
自動化が進めば、空いたリソースでさらに開発を進めることができ、自動化を全社的に拡げることも可能になるという。またレポートを経営者に提出すれば、投資対効果をアピールする材料にもなる。さらに他データを掛け合わせることで、業務や経営の判断に活かすことも可能になる。
矢吹氏は導入事例も披露する。とある製造業の人事部・総務部は、バックオフィスの人手不足に陥っており、過多な残業とストレスでモチベーションも失っていたという。RPAの導入により、自動化を実現しただけでなく、PixisCloudのダッシュボードで自動化の効果を共有することが可能になった。「人事部の方はキャリアコンサルティングの資格を取得する時間を捻出でき、総務部のRPA開発担当者は、業務改善プロジェクトの担当に抜擢されました」と矢吹氏は説明する。
また、販売代理業の営業推進部では、在庫管理に課題を抱えており、膨大な商品点数の集計と報告業務に追われていた。「朝の6時に出社し、営業マンごとに在庫のメールを送信していたようです」(矢吹氏)。その他、顧客への納期回答や新商品の情報、販売実績の報告も後手後手に回っており、担当者にもストレスとプレッシャーがかかっていたという。しかし、RPAの導入により、夜間に集計と報告業務を自動化し、朝にはメールが送信されている状態になった。後手後手に回っていた報告業務がタイムリーになり、新製品情報の提案なども迅速になったこともあり、業務効率化や時短のみならず、売上も20%向上したという。
矢吹氏は、「商品販売における季節や曜日、天候などの要因を分析することで需要を予測したり、商品の受払予測や適正在庫の管理などをチャレンジしていくとお話ししていました」とコメント。さらに「人はロボットの成果をきちんと把握しなければいけない。その上で次のステージに向かうために知恵を絞るというのが人の役割。RPAとは役割が違う」と指摘した。
PixisCloud for Autoジョブ名人は、稼働状況のダッシュボードを搭載し、ロボット自体もクラウド上で一括管理を行なっている。そのため、ブラウザ経由でロボットの実行指示を出すことができるので、スケジュール動作のみならず、即時実行も可能だ。また、RPAが停止した状態でも、ユーザック側からクラウド経由でサポートできるというメリットがある。「単に業務を自動化させるだけではない、一歩進んだRPAをリリースさせていただいた」と矢吹氏は語る。
その上で矢吹氏は、「DXのために必要なのは、人や組織の変革。その変化を遂げるための材料集めが最重要。有用な情報をRPAで収集し、他社に打ち勝つ差別化を図り、中長期的な戦略立案に移ってもらう。データを用いた企業の変革、変容をPixisCloud for Autoジョブ名人で支援したい」とまとめる。
開発中の画面も披露 RPAの可視化でなにが変わるのか?
2004年から展開しているユーザックシステムのRPA。これまで重視してきたのは安定性だ。デモを披露した渡辺氏は、「業務を任せておけるRPAを目指してきた。夜間や休日に動かしておき、出社したらきちんと作業が完了しているということを実現しかった」と語る。
まずはWebページにIDとパスワードを入力してログインして、データをダウンロードするというおなじみの自動化を披露。前面にメモ帳が開いても、Webブラウザのサイズが変わっても、きちんと動作するのは、自動化対象の解析が可能だからだ。見た目ではなく、操作するボタンやウィンドウ自体を指定するので、画面が変わっても確実に操作が完了する。
最新のPixisCloud for Autoジョブ名人は、Webブラウザでログインすると、ダッシュボードを見ることができる。たとえば進行状況を見ると、今日予定しているRPAの作業がどこまで終わったか、処理結果なども確認できる。管理者のみならず、現場の担当者も作業の進捗を確認できる。
また、Webブラウザ経由での指示出しも披露。作業させたいタスクを選択し、空いているロボットに作業を依頼すればOK。どれくらいの時間かかるかも集計しており、スケジュールの組み直しや調整も容易に行なえる。さらにβ版のPixisCloud for Autoジョブ名人の分析グラフも披露され、導入効果やスクリプト数、安定稼働率、エラー率などもわかりやすく可視化される。
PixisCloud for Autoジョブ名人は現在、パイロットユーザーによる導入を進めている最中。渡辺氏は「製品は6月にリリースする予定。ぜひご期待いただきたい」と語り、セッションを終えた。
(提供:ユーザックシステム)