
シャープの2022年度(2022年4月~2023年3月)連結業績が最終赤字になる見通しである。
呉社長兼CEOは、社員に向けた最新のメッセージのなかで、「2023年度(2023年4月~2024年3月)に、私たちがなすべきことは、早期に業績悪化に区切りをつけ、年間最終黒字を達成するとともに、将来の持続的成長へと舵を切っていくことである。2023年度は、シャープにとって大きな転換点となる1年。私が先頭に立ち、構造改革や開源節流を断行していく」との決意を示し、黒字転換を経営の最重要課題に掲げている。
今回のイベントでも、呉社長兼CEOは、「開源節流を徹底し、難局を打開していきたい。社員には、創業者精神をもってもらいたいと考えており、社員がこれを共通認識として持ったときに威力が発揮されることになる」と語った。
「開源節流」とは、健全な財政を、川の流れに例えた言葉で、「開源」は水源の開発を意味することになぞらえ、新たな事業を創出し売上げを伸ばすことを指し、「節流」は水の流れる量をしっかりと調節する意味から、無駄を撲滅することを指している。
「2023年度は、シャープグループの総力をあげて、新規事業の早期立ち上げに取り組み、将来の大きな成長へとつなげていく」と、呉社長兼CEO。2022年度の業績悪化の要因と位置づけるSDP(堺ディスプレイプロダクト)の業績低迷からの回復という課題に取り組みながら、年間最終黒字の達成と、将来に向けた新規事業の早期立ち上げ、海外事業の拡大に取り組むことになる。
そのなかでも注目されるのが、今回の創業111周年記念イベントのなかでも何度も繰り返し言及した新規事業の創出だ。目の前にある黒字転換は避けては通れない大きな課題だが、同時に次の一手の布石は次の成長に欠かせない。
2023年度に、果たしてどんな新規事業が立ち上がるのか。新規事業の立ち上げが、呉社長兼CEOが語る「シャープにとっての大きな転換点の1年」を実現できるかどうかの鍵を握る。

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