仕事に差がつく！阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第49回

期待が高まるMicrosoft 365へのChatGPT組み込み

　本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ＆Webアプリケーション（以下、アプリ）「Microsoft 365 Apps（Office 365）」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回はChatGPTのAI機能に注目した。

Microsoft BingにChatGPTが組み込まれた

　Microsoftが現地時間2023年2月7日に発表したOpenAIのチャットAIを搭載する新Microsoft Bing（以下、Bing）が大きな話題を集めている。パワーアップしたChatGPTを組み込み、Microsoft Edgeから利用できるというものだ。新Bingで検索すると通常の検索結果を示してくるが、ページ上部にある「チャット」を選択すると、チャットAIによる回答が現れる。

筆者は2月9日に申請し、2月11日午前中から利用可能になった

　上図は「Microsoft 365の評判は」と問うたものだが、各Webサイトから収集（クローニング）したデータを元にソリューションの可否が文章と箇条書きで表示された。他サイトでも述べたが、現在のWebサイトはPV数稼ぎの商業記事転用が散見され、検索結果から特定サイトをブロックする拡張機能が欠かせない。チャットAIの結果は、個人的に首をかしげざるを得ないソースも含んでいるが、一つの回答としては完成している。ただし、結果をそのまま業務利用できるとは考えないでほしい。情報の真偽は不明瞭なため、社内外の資料に用いる際は自身で公式のソースにあたる必要がある。それでも下書きを素早く作成できるのは有用だ。

サイドバーからは出力形式を選択できる。「段落」は通常の文書でMicrosoft 365の長短を説明し、「アイデア」は先ほどと同じ箇条書きが加わった

Microsoft 365 AppsへのChatGPT組み込みは？

　さて、本連載のターゲットはMicrosoft 365 Appsだ。ポイントはAIチャットをMicrosoft 365 Appsへどのように組み込むかだが、その片鱗（へんりん）はMicrosoft Vivaで確認できる。Microsoftは現地時間2023年2月2日にMicrosoft Viva SalesにAIチャットを組み込むと発表した。見込み客や追跡支援を必要とする顧客に次のアクションとして、「提案」「問い合わせに返信」「独自提案」といった応答・返信文章を生成する。Microsoft Teams Premiumも2023年2月1日に発表した情報によれば、AI機能を多用して会議要約機能や映像を区切った視聴ポイントの洗い出し、発言者を明示するスピーカータイムラインマーカーを備えるという。

Microsoft Viva SalesのAI機能

Microsoft Teams Premiumの会議要約機能

　本稿を執筆する2023年2月上旬時点で、MicrosoftはMicrosoft 365 AppsにChatGPTのAI機能を組み込むとも否とも発表していない。ただ、Microsoft Wordならば下書き文章の生成、Microsoft Excelはセル内のサンプルデータ生成、Microsoft Outlookは返信メールの文章作成と活用範囲は広い。Microsoft PowerPointは……推測できないものの見出しや短文に利用できるだろう。海外のIT系ニュースサイトでは2023年3月にも何らかの発表が行われるとのウワサも流れているが、Microsoft 365 Insider Blogに類推できる情報は掲載されていない。元よりChatGPTとMicrosoft 365 Appsの親和性は高く、ChatGPTベースのAI機能はこれまでのTipsを過去のものにしながら、新しい業務体験を我々に見せてくれるはずだ。

発表会に登壇したMicrosoft Chairman and CEO, Satya Nadella氏

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