仕事に差がつく!阿久津良和「Microsoft 365のスゴ技」 第50回
AI機能を組み込んだMicrosoft 365 Copilotで仕事の仕方が変わる!?
2023年03月24日 09時00分更新
本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は「Microsoft 365 Copilot」に注目した。
Microsoft 365 AppsにAI機能を組み込み日々の作業から解放される
Microsoft Chairman and CEOであるSatya Nadella氏は、現地時間2023年3月16日に開催したオンラインイベントで、「今日私たちは新しい時代の幕開けを迎える」と述べながら、Microsoft 365 Copilotを紹介した。Copilot=副操縦士の名称が示すとおり、Microsoft 365 AppsにOpenAIの技術を基礎とするAI機能を組み込んだものである。
数年前から同社は「アプリやサービスで生産性を高め、人間は創造的な作業に取り組むべきだ」と強く主張してきた。人が望んだ作業をコンピューターが理解し、単純作業を自動化する仕組みはシェルスクリプト(DOS/Windowsならバッチファイル)の存在からも分かるように目新しいものではなく、昨今はRPA(ロボティック プロセス オートメーション)の普及も顕著である。
ただ、Microsoftに限らず大手IT企業各社はAI機能の開発に取り組み、自社ソリューションに組み込んだ旨を発表してきたが、どれも劇的に生産性を向上させるものではなかった。これらとMicrosoft 365 Copilotが実装するAIが大きく異なるのは、シェルスクリプトやRPA製品群の記述方法を学ぶ必要がない点。我々は自然言語で問いかけるだけでよい。我々は「日々の仕事や作業から解放される」(Nadella氏)はずだ。
Nadella氏の言葉を借りるとMicrosoft 365 CopilotのAIは、これまでコーディングが必要だった「自動操縦」から、自然言語で指示を出す「副操縦士」に移行させる存在だ。MicrosoftはChatGPTおよびBingチャットの経験に基づいた大規模言語モデルと、Microsoft Graphで実現したと先のイベントで述べている。ちなみにOpenAIはGPT-4を先ごろ発表したが、Azure OpenAI Serviceによるサポート予定や現場PMのSNS発言を見ていると、Microsoft 365 CopilotはGPT-4ベースの可能性が高い。
では、Microsoft 365 Copilotは何ができるのか。たとえばMicrosoft Outlookでは、家族や友人への卒業パーティー招待状の下書きを作成し、生成した文章から冗長な表現を削って、簡潔かつ印象的なメールを作成できる。Microsoft PowerPointなら、いくつかの情報を追加すると適切な単語とOneDrive for Business経由で画像を検索し、必要に応じてキーワードの修正指示を出せばスライドショーの完成だ。
Microsoftは「平均的な人はPowerPointでできることは10%未満だが、Copilotは残りの90%を解放する」と述べている。Microsoft Wordは長文になった文章の要約やレイアウトの調整、Microsoft Excelは売り上げ結果のデータ分析からグラフ挿入の提案まで行なう。他にもイベントではMicrosoft OneNoteで実行する計画リストの作成や、Microsoft WordとMicrosoft PowerPointなどアプリ同士の連携、Microsoft Teamsでの利用方法を披露した。
ただし、これらはMicrosoftのデモンストレーションであり、お手元のMicrosoft 365+日本語で、ドキュメント作成時間を短縮できるのか否かはプロンプトエンジニアリング能力が大きく左右する。同社はイベントでMicrosoft Power Automate、公式ブログでMicrosoft Viva Engageに対するAI機能の展開や、別の公式ブログでもMicrosoft BingでAIが英文から画像を生成するBing Image Creatorを発表した。
AI活用は同社ソリューション全体に広まり、この流れはしばらく止まらないだろう。同社は数ヵ月後にプレビュー版としてMicrosoft 365 Copilotの提供を開始すると説明している。今うちにプロンプトエンジニアリング能力を高めてから、ご自身の目で確かめてほしい。
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