自治体との実証実験で効果を実感
かんたんスマホ3への実装に先がけて、ソフトバンクは自治体と連携して「うごくま」アプリの実証実験も行った。2022年には鳥取県江府市と埼玉県ふじみ野市で行なわれ、今年に入ってから、東京都東村山市での実証実験も開始されている。
埼玉県ふじみ野市の実証実験では、参加者の71%がウォーキングの習慣化について、前向きな気持ちになったと回答したとのこと。参加者の声もアプリ作りに反映しているという。
実証実験では、参加者は自分のスマホに「うごくま」アプリをインストールしている。つまり「うごくま」アプリは、かんたんスマホだけでなく、ほかのAndroidスマホやiPhoneでも使える仕様になっているそうだ。ただし、一般ユーザーがアプリストアから入手することはできず、実証実験に参加した場合に限り、招待コードを用いてインストールできる仕組みになっている。
アプリのUIを担当した上野さんは、「うごくま」のプロジェクトがスタートした2018年10月から開発に携わっている。ひと口にシニアと言っても、ユーザーのライフスタイルや健康状態などはさまざまだ。シンプルな操作性を実現する上で、最も重視したのは「ペルソナ」だと言う。ペルソナとは仮説のユーザー像といったものだが、「さまざまな仮説を立ててアプリを設計し、高齢者の方に使っていただいたりする過程で、まさにペルソナに合致する方に出会えました。以降、より具体的なイメージを持って開発を進めることができました」(上野さん)と言う。
「うごくま」は季節によって背景が変わったり、セリフが追加されたり、これからも進化を続けるとのこと。アプリ開発マネージメントを担当し、鳥取県江府市での実証事件も担当した太田啓介さんは「かんたんスマホ3を使っていただいたユーザーの声も聞いて、これからもバージョンアップさせて、よりよいものにしていきたい」と言う。
シニアが安心して使える便利機能が充実
かんたんスマホ3は「うごくま」アプリのほかにも、シニアにとって便利な機能が搭載されている。まず、「迷惑電話対策」機能だ。迷惑電話と思われる電話がかかってきた場合に警告が表示され、電話に応答してしまった場合にも通話が録音されるので、あとで対策を講じられる仕組みだ。
従来モデルから人気の「押すだけサポート」も進化。着信音が鳴らない、インターネットにつながらないといったトラブルが発生した場合に、画面をタッチするだけで解決に導かれるアプリだが、かんたんスマホ3では、タッチの感度や音声の聴こえ方も調整できるようになった。自分で解決できない場合は、電話サポート(無料)に聞くこともできる。
初めてNFC、FeliCa(おサイフケータイ)に対応したことにも要注目。これにより、マイナンバーカードの読み取りも可能になったわけだ。
ディスプレーは、従来モデルよりも大きい6.1型(2400×1080ドット)になり、5G(Sub 6)にも対応。4500mAhの大容量バッテリーを搭載しているので、電池持ちも安心。防水・防塵はもちろん、抗菌・抗ウイルスに対応し、汚れたら丸洗いすることもできる。スマホでは珍しく赤外線通信機能を搭載していることも特徴だ。これまでガラケーを使っていた人は、ガラケーの電話帳データをスムーズにスマホに移すことができる。
Y!mobileは「60歳以上 通話ずーっと割引キャンペーン」(毎月1100円割引)で通話料が安くなることも利点。高齢の親にそろそろスマホを持たせたい、健康で長生きしてもらいたいと思っている人には、このかんたんスマホ3は格好のプレゼントとなりそうだ。