専門家は空気の質をどう考える?
この調査結果を専門家はどう見るか。一級建築士で住宅リフォームコンサルタントの尾間紫氏は、「暮らしの質には、空気質が大きな影響を与えている」と解説する。
「リフォームでは、現状の分かりやすい不満を解消したいという思いが原動力になることが多いものです。しかし家の中には目に見えないもの、また生活の中で実感しにくいけれども、実は健康や快適性に大きく影響するものがあります。それが空気質です。空気質には温度、湿度、放射温度、におい、ほこり、成分などがあり、これらの質が悪化すると健康に悪影響を与え、暮らしの質を下げることにつながります。家の中の空気質を大きく左右するのは、断熱、遮熱、気密、そして換気です。これらがしっかりと機能していれば快適な空気質を維持しやすく、また必要なエネルギーも小さくて済むので省エネ、ひいては光熱費の削減につながります」
「今回の調査結果では3年以内リフォーム実施者の8割以上が、リフォームで『暮らしの質』を高めたいと回答しています。そしてリフォームのプロの皆さんは、暮らしの質を高めるための住宅機能として『断熱・遮熱機能』『省エネルギー機能』『空気質を改善・向上する機能』をトップ3に挙げています。暮らしの質は空気の質に大きく影響されていることを、リフォームのプロの皆さんはよくご存じであることが回答から読み取れます。目に見えるところだけキレイにしても本当に快適な家にはなりません。住む人の快適性や健康を左右する『空気の質』にぜひ注目してみてください」(抜粋)
適切な設備を利用して、空気の質にこだわろう
なお調査を実施した三菱電機では、熱交換形換気機器「ロスナイ」を製造販売している。一般的な換気設備は、換気する際に「室内汚れ」と共に「室内の熱(暖かさや涼しさ)」も排出してしまう。ロスナイは、室内の熱を回収し、「取り込む空気」に「回収した熱を伝える」構造を持つ。つまり、室温変化を抑えた換気が可能になるという製品だ。
ホコリや花粉などの汚れをカットする「外気清浄機能」を搭載しているのも特徴。コロナ禍を経て、感染対策や空気清浄の考え方はすっかり定着したが、暮らしの質を向上させる意味でも、こうした機器を使い、積極的に空気の質にこだわった住環境の整備を心がけたい。