東京工業大学は、同大学の施設で飼育されていた遺伝子組み換えメダカが、元学生によって不法に一般環境中へ持ち出され、文部科学省から厳重注意を受けたことを発表した。同大学によると、当該遺伝子組み換えメダカの取り扱いは、遺伝子組み換え魚を扱う際の拡散防止措置としては最もレベルの低いもので、毒素生産性などの有害性や病原体の感染性はないとしている。
東京工業大学は、同大学の施設で飼育されていた遺伝子組み換えメダカが、元学生によって不法に一般環境中へ持ち出され、文部科学省から厳重注意を受けたことを発表した。同大学によると、当該遺伝子組み換えメダカの取り扱いは、遺伝子組み換え魚を扱う際の拡散防止措置としては最もレベルの低いもので、毒素生産性などの有害性や病原体の感染性はないとしている。 今回、持ち出しが確認されたのは、イソギンチャクモドキに由来する遺伝子が導入されたミナミメダカであり、ピンク色に蛍光発色する。昨年3月、都内で開催されたイベントにおいて、遺伝子組み換えの疑いのあるメダカが販売されていたと環境省および警視庁に通報があり、遺伝子組み換えミナミメダカが承認を得ずに学外に持ち出されて飼育され、個人間で譲渡されていたことがわかった。 同メダカが飼育されていた淡水魚飼育施設では入退室管理などの対策が取られていた。だが、元学生は以前、遺伝子組み換え淡水魚を使用する研究室に所属し、飼育管理作業に関わっていたことから、飼育室に出入りでき、持ち出しが可能な状況にあった。 2004年2月に施行された「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」では、環境中で使用(飼育、譲渡等)される可能性がある遺伝子組み換え生物については、その使用に際し生物多様性への影響について評価し、主務大臣の承認を得なければならないとされている。今回の遺伝子組み換えメダカの持ち出しは承認を得ておらず、東工大は今後、淡水魚飼育室を管理を強化し、遺伝子組み換え体の取扱いに関する学生への教育を徹底して、再発防止に努めるとしている。(中條)