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血管新生阻害剤の先行投与でがん薬物療法の効果を向上=北大など

2023年03月10日 06時35分更新

文● MIT Technology Review Japan

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北海道大学と藤田医科大学の研究グループは、がん薬物療法に先行して血管新生阻害剤を投与することで、薬物療法の効果が高まることを発見した。がんの薬物療法では、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤、血管新生阻害剤の投与を同時に始めることが普通だが、大きな効果は上がっていなかった。

北海道大学と藤田医科大学の研究グループは、がん薬物療法に先行して血管新生阻害剤を投与することで、薬物療法の効果が高まることを発見した。がんの薬物療法では、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤、血管新生阻害剤の投与を同時に始めることが普通だが、大きな効果は上がっていなかった。 研究グループは、血管新生阻害剤が効果を発揮し、腫瘍血管が正常化するまでにある程度の時間がかかることに着目。腫瘍血管が正常化し、薬剤ががん組織内に到達しやすくなるまで待ってから抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤を投与することで治療効果が上がると考えた。 そこで、肺がんのモデル・マウスを用意し、血管新生阻害剤を先行投与したグループと、血管新生阻害剤、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤を同日に投与開始したグループを作った。比較したところ、薬剤を同時に投与開始したグループよりも、血管新生阻害剤を先行投与してから、後日抗がん剤と免疫チェックポイント阻害剤の投与を開始したグループの方が、より大きな腫瘍増殖抑制効果を得られることが分かった。 加えて、今回のマウスでの実験では、血管新生阻害剤を投与した3日後に血管が正常化し血流が改善したことを確認。腫瘍細胞を殺傷する細胞障害性T細胞も、血管新生阻害剤を投与した3日後に増加する傾向があることが分かった。 研究成果は2月19日、キャンサー・メディシン(Cancer Medicine)誌にオンライン掲載された。今後、がんの薬物療法において血管新生阻害剤を先行投与する治療法の実用化を目指す。

(笹田)

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