本格ダイバースペックを端正な独自デザインに昇華!
ベル&ロス/BR 03-92 ダイバー ホワイト
ダイビングに特化した機能を備え、これを主軸に価値をアピールするダイバーズウオッチはともすれば海岸に行くのは好きだが潜るのはまっぴら、と考える都会派(?)の諸兄に敬遠されるふしがあるのかもしれないけれど、ちょっと待った。優秀なダイバーズウオッチはむしろ水中より陸上で瞠目するようなポテンシャルを発揮することがある。
その理由は明快だ。常に生命の危険をともなうダイバーズウオッチは機能性や操作性、耐久性などが標準的なモデルより高度に設計されている場合が多く、日常では求められる要素のハードルが下がって相対的にハイスペックとなるからだ。
ベル&ロスは1994年にフランス・パリで創業したウオッチブランドで、現在は製造拠点をスイスのラ・ショー・ド・フォンに置き、極めて先鋭的なモデルを作り続けている。当初から一貫して航空業界との関わりを主要なテーマとして掲げ、コクピット計器の要素を取り入れたスクエア型のBRコレクションは同社の屋台骨。そのBRコレクションの一翼として2017年に誕生したのが、ダイバーズの「BR 03-92 ダイバー」である。同社は創業まもない1997年より海洋の専門家を迎えて本格的なダイバーズウオッチを展開しており、その技術やノウハウを看板コレクションに集約した格好だ。
潜水用時計の国際規格ISO6425に準拠した300mの防水スペック、深海でも容易に時刻を確認できる視認性の高いダイヤル、経過時間(=酸素の残量)の誤認を防ぐための逆回転防止ベゼルなどを網羅しつつ、このモデルがその他多くのダイバーズと一線を画しているのは、BRのコードである均整のとれたスクエアケースだ。いわば、「海」と「空」の華麗な邂逅。相反する分野のコンセプトが違和感なく融合しているのは、なんといってもバックボーンが美と調和、そして自由を愛する国、フランスだからであろう。
最新作となるホワイトダイヤルはとりわけ過酷な氷海での潜水をイメージしたもので、ホワイトと銘打ってはいるものの実際の文字盤の色みは淡麗にして瀟洒(しょうしゃ)なトーンのオパールセント・シルバー。マット仕上げに独自のメタライズ加工が施されており、その繊細なきらめきははっとするほどクールな印象を与える。街映えだって完璧だ。