絶対行きたい! この街のあの名所 第60回

干支のウサギが春を告げる福島市の“桃源郷”花見山

文●越智龍二 イラスト●サタケシュンスケ

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 福島三名湯に数えられる飯坂温泉・土湯温泉・高湯温泉を擁する福島県福島市。この温泉天国に春の訪れを告げるのが、市の西方にある吾妻小富士の山肌に描かれる「吾妻の雪うさぎ」です。冬の間に山へ積もった雪が暖かくなるにつれて溶け始め、吾妻小富士の北東斜面に、ウサギの形をした雪渓が出現。その時期がちょうど農家が種まきを始めるタイミングとされたことから、地元では「種まきうさぎ」として親しまれています。

 ウサギの「ももりん」が市の観光PRキャラクターを務める、卯年の2023年に訪れたい街・福島市には、春に訪れたならぜひ行ってほしい花の名所があります。それは、有名写真家の故・秋山庄太郎氏が「福島に桃源郷あり」と称賛し、毎年のように撮影に訪れた「花見山」(写真)です。春になると桜やレンギョウ、ハナモモなどの花がいっせいに咲き乱れる一大観光スポットで、東北エリアを代表する花見の名所として毎年約20万人が訪れるほどの人気を誇っています。

春になると全体が淡いピンクに染まる花見山はハイキングにも最適

花見山

 ピンクや赤、白、黄色など色とりどりの花が美しさを競う景色は、まさに桃源郷と呼ぶにふさわしい「花見山」(写真上)。花木農家の園主が自身の所有する山に花を植え続けたところ評判となり、市民からの見せてほしいという要望に応える形で、1959(昭和34)年に誰もが無料で楽しめる公園として一般開放されました。それから60年以上が経過した今では、桜やアジサイ、ロウバイなど、多様な花を愛でられる花名所として全国にその名を知られる存在に。一年を通して花を見ることができますが、桜やレンギョウ(写真下)、ハナモモなどの花々を同時に見られる3月~4月が一番の見ごろ。園内には30分~60分のハイキングコースが設定されていて、桜や菜の花などを同時に眺められる公園前観光案内所周辺のほか、眼下に春の花を見ながら吾妻連峰を見渡す山頂展望場などが撮影スポットとなっています。花木農家の営みの中で、毎年少しずつ景観が変わっていく花見山。一度訪れたら毎年訪れたくなってしまうのは、いつ見ても違った感動が得られるからではないでしょうか。

DATA
住所:福島県福島市渡利地内
電話:024-531-6428(福島市観光案内所)
花見山

 市内には、紹介の花見山以外にも季節の花が咲き誇る花の名所が数多く存在。「ふくしま花回廊」として紹介されているので、そちらもぜひ確認してみてください。

※この記事は、「つなぐ旅~東日本~ ひがしにほんトラベルガイド」から転載しています

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