同じく標的のTikTokはここ数ヵ月で大きな動きがあるか?
米中関係ではファーウェイ以上に紙面を賑わしているのが、TikTokだ。TikTokは中国ByteDance社のソーシャルサービスで、やはり国家保安への懸念が持ち上がり、2020年にも米国企業に買収されるとの噂があった。当時は結局期限切れとなり、中国はアルゴリズムを輸出規制リストに入れた。
バイデン政権となってからも米国事業の切り離しを求めていたが、年末から動きが活発だ。すでに連邦職員が業務端末でTikTokをダウンロードして使用することは禁止されており、州レベルでも職員が業務端末でTikTokを使うことを禁じている州も増えている。TikTokのユーザーは米国に1億人以上と言われている。若者が中心で10代の3分の2とも言われているが、大学でも禁止の動きが出ている。
2022年末に超党派グループがTikTokを禁じる「Anti Social CCP Act」とする法案を提出、2月に下院外交委員会は法案の採択をする予定となっている。
TikTokのCEO、Shouzi Chew(周受資)氏は3月23日、米議会下院エネルギー・商業委員会で証言することに応じている。また、議員へのロビー活動も活発で、OpenSecretsによると、ByteDanceがロビー活動に費やした金額は2022年は538万ドル。2020年は261万ドルというから、2年で倍増となる。
TikTokはロサンジェルス郊外にTransparency and Accountability Centerを設け、訪問者にプライバシーポリシーを説明しているという。
日本では回転寿司店での炎上で話題のTikTokだが、米国では重要な時期を迎えている。
筆者紹介──末岡洋子
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フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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