NECと筑波大学の研究グループは、顔の画像をAIで分析することで、むくみの度合いを推定する技術を開発した。顔画像からむくみの度合いを推定する技術は世界初だという。
NECと筑波大学の研究グループは、顔の画像をAIで分析することで、むくみの度合いを推定する技術を開発した。顔画像からむくみの度合いを推定する技術は世界初だという。 むくみはさまざまな原因で発生するが、特に人工透析対象者(国内34万人)と心不全患者(国内120万人)に多く発生する。医療機関などでは透析患者のむくみの状態を計測するために体重計を使用しているが、今回開発した技術はそれを代替できる精度を発揮しているという。 スマートフォンやタブレットのカメラで撮影した顔画像からでも十分にむくみの状態を推定できるため、外出先などさまざまな場所で利用できる。さらに車椅子利用者など、体重計を利用しにくい人たちも無理なく利用できる。時間や場所を問わないため、1日に何度も利用することでむくみ度合いの経時変化を捉えることも可能だ。 今回の研究では、複数の患者の顔画像を使って、顔に表れるさまざまなむくみの情報を抽出するAIモデルを事前学習で構築した。学習の際には、むくみと相関がある体重のデータを教師データとして使用し、むくみの有無や度合いを高い精度で学習させたという。それによって、実際に技術を利用する患者のデータが少数だとしても、患者のむくみ度合いに合わせたAIモデルを転移学習し、推定精度を高めることができるとしている。 研究成果は12月8日、IEEEジャーナル・オブ・バイオメディカル・アンド・ヘルス・インフォマティクス(IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics)誌に掲載された。今後は、推定精度向上のためにさらにデータを集積し、医療介護、ヘルスケア分野での具体的な応用方法を探索していくとしている。NECは2024年度の実用化を目指すという。(笹田)