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低域が豊かになりウォームな音調、一方で繊細さやクリアさも

開放型レジェンドが第4章に突入? ゼンハイザー「HD 660 S2」発表

2023年02月08日 08時00分更新

文● ASCII

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 ゼンハイザーのロングセラーヘッドホン「HD 600」シリーズの最新機種「HD 660 S2」が2月21日に発売となる。価格はオープンプライス。店頭での販売価格は9万6800円程度になる見込み。発売は2月21日を予定している。

HD 660 S2

HD 660 S2

開放型ならではの音調に充実した低域が加わる

 「伝説の第4章」というキャッチフレーズがひときわ目を引く。HD 600シリーズとしては2017年10月の「HD 660」以来、久々の更新だ。S2が付いた新モデルでは、ユーザーフィードバックに基づき、繊細な音の再現力はそのままによりリッチな低域を提供。20~200Hzの低域音圧が2倍(+6dB)に上がり、よりフラットな特性に。かつ5kHz以上の高域もなだらかなカーブとして周波数レスポンスを向上した。耳に刺さりにくく、疲れにくい音になっているという。

HD 660 S2

周波数特性のグラフ。重低域が落ちずフラット感が維持できている。高域のディップも減り滑らかなカーブとなった。

 42mmトランスデューサーは自社開発。柔軟性の高い振動板を採用しており、具体的な機種は明かしていないが、ゼンハイザーの通常のヘッドホンより5~10倍のコストを掛けているほどだという。ラミネート加工を施した振動板は、Duo-Fol(デュオフォル)テクノロジーというラミネートの厚みの調整で柔軟性を向上させる仕組みを取り入れている。振動板の中心部はアーチ状、周囲は波形に。この形状も柔軟性を高められた要素の一つだそうだ。

HD 660 S2

内部構造

 振動板の硬さと柔軟性を最適化。ここが、特にエネルギーを必要とする低域の再現に影響するという。開放型は密閉型に比べて低域が抜けやすいので、より多く振動させる(可動域を増やす)必要がある。そのために柔軟性が求められる。共振周波数はHD 660 Sが110Hzだったが、HD 660 S2では70Hzに下がっている。

HD 660 S2

ボイスコイルと振動板

 振動板を駆動させるボイスコイルは超軽量のアルミとなり、10%軽量化。660 Sもアルミ素材だったが、線材をより細くし、かつ巻き数を上げている。マグネットパフォーマンスも向上。組み立て難易度は上がるが、そこはアイルランド工場の技術力でカバー。こうした要素を通じて、インパルス応答の特性が上がり、クリアな再生になったという。

 インピーダンスは660 Sの150Ωから660 S2は300Ωに上がっている。そのぶん音量は取りにくくなるが、ボイスコイルの巻き数を増やしたことで、感度自体は高く設定されている。HD 660 Sと比べてそこまで音量が取りにくいとは思わないが、よりよいパフォーマンスを発揮できるのはヘッドホンアンプと組み合わせた場合だという。

HD 660 S2
HD 660 S2

ステンレススチールメッシュはこの部分だ。

 ステンレススチールメッシュはダンピングを支える部品。左(外側)のメッシュは厚みがあるほどサウンドは温かみが出る。右(内側)は高域:ボーカル帯域の歪みに影響。精巧に作っている。独自のマグネットシステムは、通気性が高いマグネットホールを設け、空気の乱れを抑制し、振動板の動きをスムーズにする効果が得られる。

HD 660 S2

アコースティックスへのこだわりは実にゼンハイザーらしい。

 デザインはロゴがブロンズでアクセントになっている。ヘッドバンドにもゼンハイザーのロゴがあるが、主張しすぎない高級感を演出している。

HD 660 S2

シックなブロンズ

 なお、トランスデューサー以外の外装部品は従来機と基本的に同じものを使っているという。そのため装着感もHD 660 Sと変わらないそうだ。開放型でベロア素材、心地いい装着感。なじみのある使い勝手。HD 660 Sからの移行するユーザーにもいいとする。

HD 660 S2

現行ラインアップと音の傾向

 HD 660 S2は全体に解像感と低域の再現性を強化したモデルであり、低域が強いこともあり温かみが増したチューニングになっているという。ゼンハイザーの現行となる高級ヘッドホンでは最もウォームな傾向になっているという。

 ケーブル長は180cmで、ケーブルを除いた重さは約260g。3.5mm変換アダプタ、6.3mmステレオ標準プラグ(アンバランス)、4.4mm Pentaconnプラグ(バランス)が付属する。

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