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待ったなしのCMS統合と自動化 プライム・ストラテジー池宮取締役が語る (2/2)

2023年01月24日 10時00分更新

文●大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

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ガバナンスのためのCMS統合ニーズ 追い風はまだ始まったばかり

大谷:続いて先日SUBARUさんの事例で取材させていただいた「CMSプラットフォーム統合サービス」のニーズについても聞かせてください(関連記事:SUBARUが考えるWebガバナンスと基盤統合の意義)。

池宮:KUSANAGIのマネージドサービスが単一サイトから複数サイトに拡大したことで、管理を統合したいというニーズは以前からありました。そして、それに対しては今のCMSプラットフォーム統合サービスと似たようなことをやってきました。しかし、大手企業を中心にガバナンスのためにCMSを統合したいというニーズは、社会情勢的にこの1~2年で急速に高まってきた気がします。

大谷:コロナ禍でオンライン施策やWebサイトの重要性が高まったという話もあります。

池宮:たとえば社歴の長い企業の場合、売上が好調でWebサイトなどのデジタルマーケティグにお金をかけていた事業部がある一方で、電話や紙のDMなどを使った地道な営業活動もあったはずです。「土曜日にお得意さんとゴルフ行ったのか?」みたいな昭和的な風景があり、そういった人脈で成り立っていてデジタル化する余地が少なかった部門もあったでしょう。

でも、コロナ禍で対面での営業は難しくなったので、極端な話、リアル営業で得ていた収益をオンラインで稼がなければならなくなりました。オンライン営業のように必要に迫られてIT化を進めていたところに、DXという社会的なデジタル化の波がやってきて、予算が使えるようになってきたという状況はあると思います。今までのやり方だけでは通用しなくなってきて、オンラインでのビジネスについて勉強せざるを得なくなったというのは大きいですね。

大谷:2023年以降はどうなるとお考えでしょうか?

池宮:弊社が自社で行なっている通常業務の自動化については、多くの企業でどんどん進んでいくと思います。たとえば経理や法務チェックの自動化を手がけているようなサービスは、自社での開発や外部サービスの活用を問わず、社会の中で当たり前のように使われてくるでしょう。

複雑化する要件定義とそれに対応する人材が課題

大谷:逆にCMS統合や自動化といったソリューションを進めるにあたっての課題はありますか?

池宮:お客さまにCMS統合の必要性を理解してもらうというフェーズに関してはだいぶ障壁も下がってきたと思います。ただ、「自分たちの仕事を奪ってしまうのでは?」という懸念は、今まで以上に強い気もします。

情報システム部のお客さまも外部のベンダーにお願いしている業務の削減には前向きですが、自分たちの部門を縮小しかねない業務に関しては、なかなか理解にいたらないという面はあります。これについてはCMSの統合はあくまで一部の業務であるという点を理解してもらう必要があると思っています。

大谷:情報システム部が本来やるべき業務に専念できるというメリットの訴求ですね。

池宮:なにより大変なのは、要件定義が今まで以上に複雑化していること。CMSの種類も、言語も、環境も多様化していますし、なにより統合対象のサイト数が多くなっているので、管理も大変です。また、今まで意識されてこなかったドメイン名とDNSの管理についても見直す必要があります。既存のベンダーが作ったシステムやプログラムを把握するのも大変です。

これだけ複雑化してしまうと、CMSプラットフォーム統合サービスの案件が来ても、経験がない方にPMを任せるのは難しい。自動化できる部分がある一方で、人がやるべきところの重要性もあがっているので、人も成長しなければなりません。より高度な人材を育成するための教育が社内での課題と言えるかもしれません。

大谷:自動化を進めた上でも人材採用は進めるのですか?

池宮:もちろん幅広いスキルや経験を持った人材の採用も重要です。特にこのサービスをお客様に提案できる営業は、なかなかハードル高いと思います。やはりサーバー触ったり、プログラム書いたりの経験がないと、うちの仕事は難しい。でも、同じ取締役の渡部、相原のようにエンジニアあがりで数字をみられる人って、他社だとあんまりいないんですよね。今は取締役同士で相談して案件をうまく回していますが、この体制をスケールさせるのが大きな課題と言えるかもしれません。

大谷:最後は2023年の抱負についてお聞かせください。

池宮:クラウドインテグレーション事業部としては、売上としては過去最大になったのですが、追い風はまだ吹き始めたばかりだと思っています。DXはどの企業でもなんらかの形で進むでしょうし、自動化も精度とスピードがますます上がってきます。プラットフォーム統合サービスに関しては、事例化も進めていますし、もっと認知度を上げて、多くの企業のみなさまのWebのガバナンスの実現を支援していきたいと考えています。「WordPressならプライム・ストラテジー」から「WebのガバナンスとCMSの運用ならプライム・ストラテジー」と言われるようになりたいですね。

今回話を聞いたプライム・ストラテジーの3人の取締役、渡部直樹氏、相原知栄子氏、池宮紀昭氏

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