年末年始、家電量販店やキャリアショップなどで、iPhone 14やPixel 7が24円または1円といった大きな看板やポスターを見た人は多いだろう。ケータイを1円で売るような大幅値引きは、法的に規制されてできなくなったのでは? と感じた人もいるかもしれない。最新スマートフォンがこの金額になるのはどういうカラクリがあるのか、今回見ていこう。
最新iPhoneを完全に1円や24円で入手できるわけではない
まずは店頭のポスター、もしくは前述の筆者が作成したポップをよくよく見てほしい。「24円」や「1円」とあっても、それはその金額で販売されるというわけではない。実際には「お客様負担額」が24円などと記されている。これは過去に見られた「実質1円」とも異なる。もう1つ重要なのが、通信キャリアの分割払いの購入プログラムの名前が書いてある点だ。
これは、ドコモなら「いつでもカエドキプログラム」、auなら「スマホトクするプログラム」、ソフトバンクなら「新トクするサポート」といった名称で展開されているものだ。
au「スマホトクするプログラム」の例。2年後での残価が設定されており、本体価格との差分を23回分割で支払う。1円または24円といった支払い額は、このうち24ヵ月目までの部分を指す。ドコモも基本的に同内容だ
内容的には残価設定型の24回払い(ドコモ/au)で23回、もしくは48回分割払い(ソフトバンク)で24回の支払いを済ませると、残金が免除されることが可能になる。この前半部分の支払額を極端に安く設定することで、約2年分の支払いの合計が1円や24円といったタダのような金額になっているのだ。
残金の支払いを免除してもらうための条件は、スマートフォンを購入した通信キャリアに返却すること。そうした場合は、支払い額は24円や1円で済むことになる。
つまり、約2年は1円や24円のようなタダに近い金額でスマートフォンを使える。実質的にはほぼ無料(もちろん通信料は別途必要だが)の2年間レンタルと捉えてもいいだろう。ただし、返却の際は査定条件を満たす必要はある。たとえば、故障していない、ガラスが割れていない状態であるといったことだ。
さまざまな事態を想定してシミュレーションすれば
罠にハマるようなことはない
では、こうした販売条件がオトクなのかどうなのかだが、基本的にはそう考えてもいい。
たとえば、24円とされることのあるiPhone 14(128GB)をApple Storeで単体購入すると11万9800円。それを2年間使って11万9800円に近い金額で中古買取店で売却できるかというとそれはあり得ないからだ。
もし、そのスマートフォンをすごく気に入っていて、2年以上使いたい場合は残金を払えばいい(分割払いも可能)。それでも負担金が24円というような機種は最初に大きく値引きがされているため通常購入よりもオトクなことが多い。もし残金よりもその時点での買取価格のほうが高い場合は一括清算し、その上で売却するという手もある。
心配なのは壊した場合だが、それも救済措置がある。各社の制度には多少の違いはあるが、3社とも前述の査定条件を満たさず、故障サポートなどに入っていなくても、追加負担金は最大2万2000円で設定されていることが多い。
壊したり紛失したりすることが多い人は、各キャリアが用意している故障や紛失を補償するサービスに入っておけば、故障や紛失時の負担はぐっと少なくなる。これは自分の使い方の傾向から検討するといいだろう。
つまり、毎月の支払い額や、万が一の際の負担額などをきちんとシミュレーションすれば「罠」ではなく、オトクに使うことができる。あらためて分割払いの真の支払い額をしっかり確認しておくことが重要だ。
こうしたプログラムは同じキャリアを使い続けることは
条件ではなくなっている 解約していても適用可能
また、これらのプログラムは回線契約がなくても使えるようになっている。途中で解約したり、他社に乗り換えても継続される。
ドコモなら途中でahamo、もしくは他社に乗り換えても2年後に端末を返却すれば24円の支払いで済む。実際、ドコモでは店員からahamoへ乗り換え前提で、「いつでもカエドキプログラム」の利用を勧められることもあるようだ。

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