「ごろごろチキンの濃厚カルボナーラ」
松屋
780円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/whatsnew/menu/45453.html
「パスタではありません」とわざわざ書いてある
2023年、いかがお過ごしでしょうか。筆者は自分が厄年だと勘違いし、厄除けの定番である西新井大師に詣でたのですが、計算違いで厄年にかすりもしない年齢だと発覚。そんな愚かな人間を観音様が見逃すはずもなく、おみくじを引いたら見事に「凶」が出ました。幸先が悪いとはこのことです。
傷ついた心を、ホットな食べ物で優しく癒やしてほしい……。そんな思いで向かったのが、松屋です。松屋は「ごろごろチキンの濃厚カルボナーラ」を1月10日から発売しています。
これまでカレーのイメージが強いごろごろチキンシリーズ、通称“ごろチキ”シリーズに、カルボナーラ味が登場。濃厚なカルボナーラソースに、なめらかなくちどけのグラナパダーノチーズと、セパレーターで後乗せする生玉子の黄身が絡む、コク旨な逸品だそうな。
ポイントはごはんに合うようにこだわって開発したというカルボナーラソース。鉄板でジューシーに焼き上げたチキンを完食した後は、余ったソースで濃厚カルボナーラ丼にできるとうたいます。
松屋は2022年4月にカルボナーラ+ハンバーグという「カルボナーラハンバーグ」を発売していますが、今度はごはんと合わせるという体です(参考記事:「松屋『カルボナーラハンバーグ』罪深いほどではないけどまとまっています」)。
松屋はレギュラーメニューにパスタがないので、カルボナーラソースを開発した場合は、既存のメニュー(ハンバーグとかごろごろチキンとか)に絡めるという姿勢を取っているようです。
パスタではなく、ごはんで食べるカルボナーラ。その味は一体……?
チキンのクリーム煮みたいな外見
というわけで、松屋のカルボナーラです。カルボナーラといえばパスタなのですが、松屋が公式に「※この商品はパスタではありません」と注意しているように、パスタ要素はありません。その代わり、チキンがごろごろ入っているので、鶏肉のクリームソース煮のような風情になっています。
見た目からすると、松屋が2019年に展開していた「シュクメルリ鍋定食」に似たようなものも感じますね(参考:「松屋の店舗限定メニュー「シュクメルリ鍋定食」ってなんだ」)。
カルボナーラには必須の玉子も付いていますが、後乗せです。黄身と白身を自分で分けて乗せられるようになっています。卵を乗せることで、だいぶカルボナーラっぽくなったような……どうだろうな。
そもそも、カルボナーラはローマの料理で、具材はパンチェッタ(豚バラ肉の塩漬け)かグアンチャーレ(豚ほほ肉の塩漬け)を、チーズはペコリーノ・ロマーノ(もしくはパルミジャーノ・レッジャーノ)を使うということになっています。もっとも日本では入手性から、ベーコンや生クリームを使うことが多いですね。
松屋の場合、玉子は後乗せ、具材は豚ですらないわけで、「カルボナーラです」と言われればそう見えなくもないけれども、そもそもパスタじゃないし……と、独自性の高い感じになっています。
味の濃いチーズとソースがごはんに合うけれども
味わいとしては、それこそ松屋の「シュクメルリ鍋」に似ています。味が濃い目のシチューというか、クリーム煮というか……。身も蓋もない言い方をすれば、「カルボナーラのパスタソース部分に鶏肉をたくさん入れた」というものです。
もっとも、とろみもあるし、チーズのコクもあるので、パスタがないと楽しめないという感じではありません。単体で成立する味わいにまとまっていると感じました。黄身を崩しながら食べることで、まろやかなコクを楽しむことも可能です。玉子が絡むと、かなり我々の知るカルボナーラっぽくなります。
ごはんに合うのかという点ですが、けっこう、いい感じです。「ごはんに合うようにこだわって開発した」と言うだけのことはある。味の濃いホワイトソースですし、チーズも多めなので、「現地ではライスと合わせて食べている料理なんですよ」と言われれば、そうかもしれない……とは思えてきます。
ただ、食べていると、ネット上でしょっちょうコスられる話題「シチューはごはんに合うか?」という疑問も浮かんできます。そもそも、カルボナーラと名乗っている以上、「持ち帰ってパスタにかけたほうが“合う”のでは?」と思わなくもありません。それにしてはチキンが多い気がするけど。
松屋のカルボナーラは、さしずめ、シュクメルリ路線の第2弾といったところでしょうか。ニンニクの香りや具材などに違いはあるものの、チーズのコクと味の濃いソースでごはんが進むというコンセプトは近しいですし、「パンがほしい……」「パスタのほうが……」という思いもなくはない点も似ています。
パスタソースでごはんを食べているようなよそよそしさは否めないものの、白米にそれなりに合うことも確かです。780円という、安くはないが高すぎもしない価格も含め、なんだかいろいろ考えさせられる不思議なメニューでした。絶賛とはいきませんが、話のタネに食べるなら損はしないかなと。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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