このページの本文へ

新型コロナ、スパイクタンパク質の弱点を発見=東京理科大など

2023年01月04日 06時10分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

東京理科大学、東北大学、国立感染症研究所の研究グループは、新型コロナウイルスが持つスパイクタンパク質の活性化に必要なアミノ酸残基を同定した。この残基を別のアミノ酸残基に変異させると、感染機能が失われることが分かったという。

東京理科大学、東北大学、国立感染症研究所の研究グルーは、新型コロナウイルスが持つスパイクタンパク質の活性化に必要なアミノ酸残基を同定した。この残基を別のアミノ酸残基に変異させると、感染機能が失われることが分かったという。 研究グループはこれまでに、スパイクタンパク質の488番目のシステイン残基(C488)が、新型コロナウイルスの感染において重要な役割を果たすことを明らかにしている。今回の研究では、C488の変異がスパイクタンパク質の活性化と細胞外への分泌に与える影響を調べた。 C488に変異を持つスパイクタンパク質の細胞内局在を解析した結果、スパイクタンパク質の分泌装置や細胞表面への局在化が低下していた。また、C488変異体を培養細胞で発現させ、タンパク質分解酵素で処理すると、切断されるスパイクタンパク質の量が著しく減少していたという。さらに、小胞体からゴルジ体への細胞内移行を薬剤で阻害したところ、スパイクタンパク質の切断と細胞膜融合の活性が抑制された。こうした結果から、スパイクタンパク質のC488残基はスパイクタンパク質の機能に必要な細胞内移行と切断に関係することが分かった。 研究成果は12月13日、インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・サイエンシズ(International Journal of Molecular Sciences)誌にオンライン掲載された。今回同定したスパイクタンパク質のC488残基は、新たな仕組みによる新型コロナウイルス治療薬開発につながる可能性があるとしている。

(笹田)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ