東北大学などの国際共同研究チームは、プラズマ利用機器においてネガティブな存在と考えられてきたプラズマ不安定性が、推進機作動の鍵となるプラズマ流離脱を促進する重要な役割を果たすことを明らかにした。宇宙空間における大電力・無電極の磁気ノズルプラズマ推進機の作動シナリオに道筋をつける成果だとしている。
東北大学などの国際共同研究チームは、プラズマ利用機器においてネガティブな存在と考えられてきたプラズマ不安定性が、推進機作動の鍵となるプラズマ流離脱を促進する重要な役割を果たすことを明らかにした。宇宙空間における大電力・無電極の磁気ノズルプラズマ推進機の作動シナリオに道筋をつける成果だとしている。 無電極プラズマ推進機は、高周波プラズマ源と磁気ノズルによるプラズマ加速を経て宇宙空間へ燃料を噴射して推力を発生する。磁気ノズルからの磁力線は閉ループ構造を形成するが、放出したプラズマ流が推力を発生するためには、閉ループ構造を形成する磁力線からプラズマ流が離脱し、自由空間へとプラズマが噴射される必要がある。 研究チームは今回、実験室において、推進機下流域においてイオンの定常的な速度ベクトル、および誘起されるプラズマ不安定性を計測。磁気ノズル中を膨張するプラズマ流の周辺領域に不安定性が局在し、この不安定性がプラズマ流が磁気ノズルから離脱する過程において重要な役割を果たしていることを明らかにした。 研究成果は英国科学雑誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)の電子版に2022年12月5日付けで掲載された。(中條)