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kintoneパートナーセレクション 第4回

SIとプロダクトでエンタープライズのニーズに応える

kintone SIの形を変えてきたM-SOLUTIONS 次は自治体DXへ

2022年12月02日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: M-SOLUTIONS

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 エンタープライズ系のkintone SI案件を手がけることの多いソフトバンクのグループ企業であるM-SOLUTIONS。kintoneの開始とほぼ同時期にSIとプロダクト事業を立ち上げ、顧客のニーズに合わせてkintone SIの形態も変化させてきた。M-SOLUTIONS 代表取締役社長CEOの植草学氏にkintoneビジネスの経緯と今後の戦略について聞いた。

サイボウズビジネスを契機に一括請負型に、アドバイザリー型も追加

 M-SOLUTIONSは2014年からSIパートナーとしてサイボウズのビジネスをスタートさせ、エンタープライズと言われる大企業のDX支援を手がけてきた。変化する市場と顧客ニーズに対応すべく、基幹システムと連携する柔軟なシステムをkintoneで構築したり、Notesを初めとするレガシーシステムのマイグレーションを実施している。

 M-SOLUTIONSのメイン顧客はエンタープライズの事業部で、サイボウズビジネス以前は、課題解決のためにエンジニア派遣を中心としたSES(System Engineering Service)を展開していた。しかし、サイボウズのビジネスを始めるのを機に、SESから一括請負型の開発にシフト。その結果、直近の2022年10月までで累計900件弱の開発案件を手がけ、2016~2018年は3年連続でサイボウズのパートナーアワード SIビジネス部門でトップを獲得している。

M-SOLUTIONS 代表取締役社長CEO 植草学氏

 kintone SIを始めて以来、一括請負型の開発を中心に展開してきたM-SOLUTIONSだが、最近はユーザー自らがkintone環境を構築する際のアドバイザリーをサービスとして追加した。一括請負はコスト的に難しいが、自前ですべて作るのは難しいというユーザーをチームでサポートする。コロナ禍以降、Web会議が当たり前となったこともあり、ユーザー企業に寄り添う形でkintoneの開発や運用を丁寧に支援しているという。

事業部、情シス、M-SOLUTIONSの協力体制でDXを推進

 昨年は、DX支援として月額定額開発のDX推進の伴走支援も開始した。一括請負型の開発のように当初の契約に縛られることなく、月額定額で必要なシステムを作れるという柔軟さが大きな売りだ。「月次で課題をチケット化し、なにをやるのか、やらないのかを決めていきます。その上でわれわれとユーザー企業との協力体制を構築して、定額で開発を進めていくという流れになります」と植草氏は説明する。

 今までM-SOLUTIONSとしては、現場の事業部と直接タッチすることが多かったが、DX推進のために、情シスやDX推進部と連携することも多くなったという。これに対して、M-SOLUTIONSは外部のサポートとして、知見やノウハウに加え、構築や開発技術の提供まで手がけている。「単一の事業部で完結していたkintoneの導入が、複数の事業に横展開され、最終的には全社横断のプラットフォームになることが増えています」と植草氏。

M-SOLUTIONSの開発体制

 M-SOLUTIONSとしては事業部からのボトムアップのアプローチでDXを支援することが多いが、企業によってはトップダウンで進む場合も多い。「いずれにせよ、部分最適化と全体最適化が必要になるので、ボトムアップとトップダウンのミックスで進む方がいいと思います。みなさんといっしょに試行錯誤して、次ここ改善していこうと言いながらプロジェクトを進めています」と植草氏は語る。

 ノーコード/ローコードツールの進化で、現場部門でアプリを作るという流れも起こっている。現場部門のユーザーが8割を占めるkintoneも同じ文脈だ。しかし、植草氏は、「現場部門だけでアプリを作るのは無理」と断言する。もちろん、簡単な日報やExcel台帳の代わりであればkintoneでも作れるが、社内の承認プロセスを経たり、外部業者にオーダーを出すといったフローになると、やはりM-SOLUTIONSのようなプロと二人三脚で開発を回してく体制が必要になるという。

多くの企業で共通の悩みをプラグインやサービスで解決

 M-SOLUTIONSはkintone SIの開始とほぼ同じ時期からプロダクト事業も手がけている。「SIをやっていると、多くの会社で共通するカスタマイズが出てきます。われわれのノウハウを部品化して、多くのお客さまを支援したいという気持ちもあり、プロダクトも展開しています」と植草氏は説明する。

 最初にリリースしたのが、kintoneで特に利用頻度の高い検索を便利にする検索拡張プラグイン。その他、集計や表示切り替え、既読チェック、CSV出力設定など、かゆいところに手の届くプラグインを数多くリリースしてきた。「一番売れているのは検索拡張プラグインですが、最近だとBoxとの連携やアクセスログを出力するプラグインも人気です」(植草氏)。

 2016年からは、プラグインを販売する「kintoneアプリストア」にも展開し、SIのおまけだけではなく、単体での販売もスタートさせた。2018年以降は、kintone側のAPI変更にも対応できるよう、年額サービスを開始。

M-SOLUTIONSのプラグイン

 単機能のプラグインに加え、2019年からは「Smart at tools for kintone」という外部サービスも用意。Excel入力、CSV入出力、BIやビジネスチャットとの連携、ユーザー管理や申請などさまざまな機能を、設定だけで利用できるようにしている。「今ではSIなしで、プラグイン単体や外部サービスだけ購入されているお客さまやSIパートナーも増えています。kintoneというプラットフォームだからこそ、こういったエコシステムが実現できます」(植草氏)。

次のチャレンジはグループ全体で自治体DX

 今年から新たに開始したのが自治体DXだ。親会社にあたるSBテクノロジーは現在、官公庁のDX化に邁進しているが、M-SOLUTIONSは地方自治体のDXにチャレンジする。「自治体のDXってGDPを1%程度引き上げるインパクトがあります。だから、1社の取り組みではなく、グループで連携して取り組みます。規模の大小問わず、1700以上ある自治体すべてが対象です」と植草氏の鼻息も荒い。

 具体的なソリューションが自治体のペーパーレス化・ハンコレス化を促進する「Smart at 自治体DX」だ。これは役所内外での市民や職員からの申請・確認・承認などの業務を一気通貫で電子化するサービス。kintoneをベースに作られており、フォーム入力を簡単に構築できるFormBridge(トヨクモ)や電子申請を容易にするテンプレートもすべてパッケージで提供されている。また、自治体向けのLGWANにも対応しており、セキュリティに関しては親会社のSBテクノロジーと連携するという。

 住民の申請を受け付けるデジタル化パッケージは数多く、多くの自治体が導入している。しかし、実際は受け付けた申請書を印刷して、紙で回覧して、押印申請しているという自治体も多いという。「印刷や押印しなくても済むように、フロントの申請システムとkintoneをつないで、すべてをデジタルで回るようにするパッケージとなっています」と植草氏は語る。

役所内部の電子申請を実現するSmart at 自治体DX

 予算面が潤沢でない自治体の場合、自らシステムを開発する自走が課題だ。その点でも、SIからアドバイザリーや定額サービスまで展開してきたM-SOLUTIONSが最適だという。「パッケージを提供したり、レクチャーすることもできますが、自走できない自治体に対してはSIまで提供できます」(植草氏)。

 すでに導入を進めている自治体もあり、来年には導入事例も披露される予定。「2年前くらいから自治体のSIは受けてきたのですが、ここまでアナログだったのかと驚きました。民間企業で培ってきたデジタル化のノウハウを自治体に持ち込みたいと思っています」と植草氏は語る。

■関連サイト

(提供:M-SOLUTIONS)

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