このページの本文へ

CO2を外部電位の切り替えで吸着・脱離する新技術=早稲田大など

2022年11月24日 06時39分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

早稲田大学などの国際研究チームは、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を、外部電位の切り替えひとつで選択的に吸着・脱離できることを発見した。本技術によって、従来の液体方式とは異なる、乾式・小型でオンデマンド駆動が可能な二酸化炭素回収・濃縮プロセスを実現できる可能性がある。

早稲田大学などの国際研究チームは、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を、外部電位の切り替えひとつで選択的に吸着・脱離できることを発見した。本技術によって、従来の液体方式とは異なる、乾式・小型でオンデマンド駆動が可能な二酸化炭素回収・濃縮プロセスを実現できる可能性がある。 研究チームは、希土類の酸化物に異種の元素をドープ(酸化物の構造をつくる元素に対して、違う元素を微量置き換えて入れること)した材料を用いて、外部から直流の電位をプラスとマイナスのそれぞれで与えた場合の、二酸化炭素の吸着と脱離を詳細に解析。セリウム酸化物に異種の金属を導入した材料を用いて、プラスの強い電位を与えると二酸化炭素が選択的に吸着し、マイナスの電位に切り替えると二酸化炭素が脱離することを理論的に明らかにした。 二酸化炭素回収ではこれまで、回収能力を有する液体に二酸化炭素を吹き込んで吸収させる手法が多く提案されてきた。こうした手法は実行が比較的容易である一方で、吸収した二酸化炭素を放出する際に外部から加熱する必要があり、エネルギーを消費するという欠点がある。 同チームは今後、この材料を用いた二酸化炭素のオンデマンド回収装置を実際に稼働させて、従来に比して低いエネルギーで回収・濃縮が可能なことを実証する。研究論文は、英国王立化学会のフィジカルケミストリー・ケミカルフィジックス(Physical Chemistry Chemical Physics)のオンライン版で2022年10月26日に公開された

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ