この記事は、内閣官房による地理空間情報を活用したビジネスアイデアコンテスト「イチBizアワード」に掲載されている記事の転載です。
トレーラーハウスの可能性を知ってほしい
”トレーラーハウス”をご存じだろうか。一般的にトレーラーと言えば牽引車両にコンテナなどの貨物を積載した車両を接続して大量の貨物を運ぶものだが、トレーラーハウスは中に人が入ってさまざまな用途に利用するところに特徴がある。
「トレーラーハウスというのは、車両(被けん引自動車)です。建築申請の必要がなく、ここには建物を建てられませんという場所でも、車両を持ち込んで停車できる場所であればどこでも導入できます」と、生産台数では国内ナンバーワンのトレーラーハウスデベロップメント 執行役員/事業戦略部 部長 西川 徹氏は最大のメリットを語る。
トレーラーハウスの用途は基本的に一時的なものが多いが、たとえば住宅展示場の事務所やイベントでの喫煙スペース・トイレ、緊急災害時の仮設施設など、その用途はさまざま。通常、日本の建築基準法では柱と屋根があると建築物という扱いになり、たとえ私有地であっても行政の許可なく設置することはできない。しかし、トレーラーハウスはあくまで車両なので、”そこに停車しているだけ”で”建築物”の用途を提供できるのだ。コンテナを改造して”置いている”例はあるが、法律的にそこは”黒”だ。トレーラーハウスデベロップメントはその点を車両というアプローチでクリアしている。
同社の事業戦略部 事業推進課 課長 齋藤將太郎氏は、「弊社のトレーラーハウスはすべての製品にナンバープレートが付いています。つまり、車検を通った車両です。日本ではトレーラーハウスに対する法整備がまだまだ追い付いていない部分もあるのですが、トレーラーハウスを文化として根付かせるためにも、コンプライアンスを徹底して合法的にサービスを展開しています」と言う。
一方でトレーラーハウスは車両なので、当然定期的に車検を通さなくてはならない。
「通常、自動車メーカーが販売している製品には『型式』っていうのがあって、国に認められた車なので車検が切れても民間の車検場ですぐに取り直せます。ただ、もともとトレーラーハウスには型式認証がなく、弊社の『THD20FT』という製品で国内初となる『被けん引自動車』というカテゴリーで型式認証を取得できました。トレーラーハウスの可能性を知って欲しいというスタンスで弊社はさまざまな活動をしています」とは齋藤氏。
まだまだ馴染みのない分野だけに、試行錯誤を続けながらビジネスを展開しているとのことだ。
自由に移動できる=サステナブル
とあるホテル事業者では、トレーラーハウスデベロップメントから2000台以上のシャーシを購入しているという。
「工場で一番生産が多いのはシャーシの部分で、その部分だけを作って納品するということも結構あります。ホテルの例で言うと、ここの部分は建築物の認可を得てサービスを提供し、一時的に増減させたい部分はトレーラーハウスで運用するといった使い分けをされているようです。またその延長で、現在グランピングにも注目しています。個人で導入するには少々お値段が張るので、レジャー施設に導入いただいて欲しいですね」と、企画開発部 営業2課 課長 中村尚太氏は説明する。
このように必要に応じて移動して再利用できるトレーラーハウスには、SDGs的な面でもメリットがある。
「建物というのは基本的にはスクラップ&ビルド。不要になったら壊すものです。しかし、トレーラーハウスは壊さなくても移動させて別の場所で再利用できます。とてもサステナブルな存在なのです」と、西川氏は語る。
トレーラーハウスを次のステージへ
内閣官房は地理空間情報を活用したビジネスアイデアコンテスト「イチBizアワード」を今年から開催しており(応募はすでに終了)、2022年12月6日~7日に開催される「G空間EXPO2022」にて発表・表彰する予定だ。
齋藤氏は、「イチBizアワードでは、何か新しい企画であったり、トレーラーハウスの開発に対して我々が考えられないようなアイデアが浮かんでくると良いなと思っています。あとは逆に、トレーラーハウスという存在をより広く知っていただくチャンスになってくれることを願っています」と期待を寄せる。
イチBizアワードを通じてさまざまなアイデアが集まってトレーラーハウスの利用がより広がれば、さまざまなビジネスがその恩恵を被ることができるだろう。
(提供:トレーラーハウスデベロップメント)