「Pokémon Go」でおなじみのナイアンテックも合流
基調講演には、NianticでARヘッドセットの開発を率いるMaryam Sabour氏が登壇し、「クアルコムと提携することで、2023年にはSnapdragon Space(SnapdragonのXRプラットフォームのこと)やXR開発プラットフォームとの互換性を実現し、(Nianticの)Lightship VPS技術の機能をヘッドセットに拡張していく」と語った。
Lightship VPSとは、カメラの画像を使い、現在地やユーザーが向いている方向を測位するシステムのこと。正確なARコンテンツの表示に活用でき、日本でも主要都市に導入されている。クアルコムのXRプラットフォームに統合することで、「すべてのSnapdragon Space対応デバイスで利用可能になり、コンテンツを作成する開発者と新しいデバイスで参入するメーカーの摩擦を減らすことができる」(Sabour氏)という。
PC向け新CPUの名は「オライオン」に
また基調講演では、クアルコムが開発中の新CPUが2023年に投入されることが明かされた。新たなCPUの名称は「QUALCOMM ORYON(オライオン) CPU」。主にPCなど、高い処理能力を求められるデバイスへの搭載を想定して開発を進めているものだ。この開発に先立ち、2021年にクアルコムは元アップルの開発者が設立したスタートアップのヌビアを2021年に買収。そのヌビアの技術を応用したCPUが、ORYONになる。
ORYONは、アップルがMacやiPadに採用するMシリーズに対抗することを狙っていると言われており、当初のターゲットはPCを想定しているようだ。開発をリードし、ヌビアから合流したエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのGerard Williams氏は、「新時代にふさわしいパワフルで効率的なパフォーマンスを実現したクラス最高のCPUで、業界に革命をもたらす」と語る。当初は、PCが中心になりそうなORYONだが、スマートフォンなどのモバイルデバイスやXRデバイスなどにもカテゴリーを広げていく予定だという。
PC向けのプラットフォームは、昨年の同イベントで「Snapdragon 8cx Gen 3」を発表していたが、今回は新製品が発表されていない。代わりに、基調講演にはマイクロソフトやアドビの幹部が登壇した。PC向けのプラットフォームでは、AIアクセラレーション機能を発表。Windows 11の「Windows Studio Effect」に対応し、ビデオ会議のノイズキャンセリングなど、オンデバイスAIを駆使した機能が、Snapdragon搭載PCで利用できるようになることが明かされた。
新しいSnapdragon Soundで
さらなる音楽体験が
ほかにも、クアルコムはワイヤレスイヤホン向けの「Qualcomm S5 Gen 2」「Qualcomm S3 Gen 2」を発表している。後者はBluetooth LE Audioやダイナミックヘッドトラッキングを利用した空間オーディオに対応する。
クアルコムのシニアバイスプレジデント、Alex Katouzian氏は「我々が持ち歩き、使用するデバイスは今後も増え続け、日々の生活をより豊かにしてくれるでしょう。Snapdragonは、このインテリジェントに接続された世界の中心になる」と語る。2日目に発表された豊富な製品バリエーションは、その言葉を裏付けているかのようだ。スマートフォン市場が飽和しつつある中、同社が次の一手を模索している様子がうかがえた。