NECと米バージニア工科大学交通研究所(以下VTTI)は11月10日、AIベースの映像解析技術を活用して、交差点周辺のドライバーや歩行者、その他の道路利用者に対して、安全情報や警告を通知する共同実証の実施を発表した。
交差点での死者数や重傷者数が多い米国バージニア州の各市・郡では、「Vision Zero(道路交通システムにおける死亡・重傷事故を最終的にゼロにすることを目指し、世界各国が取り入れている交通安全哲学)」の方針が掲げられ、道路交通システムの高度化が求められている。
こうした背景の中、これまでNECが培ってきた人とインフラとモビリティーをつなぎ協調させるための技術開発のノウハウと、VTTIが行なってきた交通領域での先進的な取り組みをかけ合わせ、車両および歩行者に安全・安心を提供するための共同実証が行なわれた。
本実証でNECは、交差点周辺の車両や歩行者、自転車といった道路利用者を検出、分類、追跡できるAIベースの映像分析技術を提供。また、本技術と車両や歩行者に対して安全情報や警告を通知するC-V2Xシステム(3GPPで国際標準化された通信規格で、車両と車両間、車両と交通インフラ間、車両とネットワーク間などの通信)を統合することにより、インフラと車両が無線通信で情報のやり取りを行なうインフラ協調型のモビリティーサービスの実現性を評価した。
NECとVTTIは交通安全に関するユースケースとして、車両と歩行者(または車両同士)の衝突予測、横断歩道歩行者検知、右左折車両検知などに対する効果を共同で評価した。今回実証したユースケースにおいては、映像解析AIが車両と歩行者(または車両同士)の衝突可能性を検知した後、0.5秒以内に車両に通知することに成功。これにより、一般的に1秒程度かかると言われている運転手の危機察知後の反応時間よりも早く警告を発することが可能となり、見通しの悪い交差点等で衝突の危険性をいち早く伝え、交通事故削減に役立つことが期待できるとしている。
なお、今回の実証では個人の特定や認証を行なう技術は使用していない。