京都大学、鳥取大学、住友化学の共同研究チームは、柔軟性のある新素材を利用することにより、圧力を加えずに高容量の固体型電池を安定作動させることに成功。次世代二次電池として注目される固体型電池の実用化に向けて課題となっていた固体電解質の柔軟化にこぎつけた。
京都大学、鳥取大学、住友化学の共同研究チームは、柔軟性のある新素材を利用することにより、圧力を加えずに高容量の固体型電池を安定作動させることに成功。次世代二次電池として注目される固体型電池の実用化に向けて課題となっていた固体電解質の柔軟化にこぎつけた。 研究チームは今回、共同開発した新素材を用いることで、無加圧方式で約230ワット時/キログラム(Wh/kg)の容量を達成した。加圧に必要な部品を省くことができるため、電池の重量およびコストの削減が見込まれ、安全性の高い固体型電池の早期実用化が期待できるという。 全固体電池は、リチウムイオン二次電池に用いられる電解液を固体にしたもので、容量と充放電時間、安全性を向上できるとして注目されている。しかし、固体電解質は柔軟性に乏しいため、電極との界面をいかに接合するかが課題となっている。一般的には、電池セルに圧力を加えることで界面を接合させるが、加圧に必要な部品などの重量およびコストが増加するうえ、接合が弱いと性能が低くなる。 研究チームは、2020年に設立した産学協同講座で、柔軟性を兼ね備えた固体電解質により、圧力を加えなくても電極との界面接合が可能になる“柔固体”型電池の動作実証を目指してきた。研究成果は、11月8~10日に福岡市で開催される「第63回電池討論会」で発表される。(中條)