EUがかねてより進めてきたモバイル端末のUSB Type-Cへの統一を正式に採択した。これによりスマートフォン、タブレット、カメラなどの機器は2024年末までにUSB-Cを採用しなければならない。アップルはすでにこれに従う方針を明らかにしている。
来年末までにスマホを始めとする電子機器にUSB-C搭載を義務化
コロナ禍前のことだが、米国のホテルに泊まると、たまにベッド横にある目覚まし時計兼ラジオに、iPhoneの30ピンのDockコネクタをドッキングできるものがあった。その頃すでに周囲にDockコネクタが必要なiPhoneを持っている人はいなかった。初期のiPhoneを思い出してノスタルジーを感じたものだ。
規格が変わるというのはこういうことだろう。時計やラジオとして機能しているのならいいが、Lightning端子のiPhoneを購入したユーザーは30ピンのケーブルは不要になったはずだ。
アップルがLightningを導入したのは、2012年の「iPhone 5」のこと。もう10年前の話。そろそろLightningも終わりを迎えるのかもしれない。
以前にも本連載で紹介したように(「iPhoneをついにUSB-C化させる!? EUで可決された「RED」とは」)、欧州連合(EU)は「Radio Equipment Directive」の修正として、スマートフォンをはじめとした電子機器の充電をUSB-Cで統一する方向で動いていた。そして10月4日、欧州議会はこの法案を可決した。これにより2024年末までにEU圏で販売されるすべての携帯電話、タブレット、カメラはUSB Type-Cを搭載しなければならない。もちろん、iPhone、iPadも例外ではない(というより、EUの最大のターゲットだ)。
そして、アップルのワールドワイドマーケティング担当シニアバイスプレジデント、Greg Joswiak氏はWall Street Journalのイベントで、「従うしかない。それ以外の選択肢はない」と話したことが報じられている(https://www.wsj.com/livecoverage/wsj-tech-live-2022/card/apple-says-iphones-will-comply-with-eu-law-requiring-usb-c-charging-ljK6qqmQkOkF2RdnWvrc)。
10年前に導入したLightningにいよいよのお別れか
この法律はあくまでEU圏で適用される法であり、USB-Cを義務化するのは欧州で新たに販売されるデバイスだ。つまり、日本・米国を含む欧州以外の地域は影響を受けない。それでも、アップルが欧州向けにUSB-C搭載の(たとえば)iPhone 15を、それ以外の市場には従来通りLightningのiPhone 15を用意するとは考えにくい。Joswiak氏が「従う」としているのは、おそらくは欧州向けにというより、世界で販売するiPhoneがUSB-Cになることを意味している、と考えて良さそうだ。
実際に、アップルに詳しいアナリストMing Chi Kuo氏は5月(法案成立前)の段階で、「2023年にLlightningではなくUSB-Cを搭載した新しいiPhoneが登場する」という予想をツイートしていた。2023年となると「iPhone 15」の可能性が高い。実現すれば、EUが定める「2024年末」の1年前倒しになる。
そもそもiPhone 14に付属しているケーブルのもう片方の先はUSB-Cなのだ。しかもそれによって、(Macユーザーなら特に)恩恵はあったし、充電速度も早くなった。そしてiPadは大半がUSB-Cを用いているのだ。10月に発表された「Apple TV Remote」もまたそうだ。
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