いま私たちは「ネット動画」を日常的に楽しんでいる。YouTube、Netflix、Amazonプライムビデオ、Disney+などで、独自コンテンツや、アニメ、ドラマ、バラエティなどを見ている方は多いはずだ。
その一方で、「テレビ」では今も数多くの魅力的な番組が昼夜を問わず放映されている。「テレビ」と「ネット動画」の性質を大きく隔てるものとして、「時間」がある。決まった時間に決まったコンテンツが放送される「テレビ」に対し、「ネット動画」では、いつでも自分の好きなときに、好きな番組を見られるという優位性がある。そのため「テレビ」のコンテンツもTVerやNHK+といった「見逃し配信サービス」という形でネット配信されているが、「見逃し配信サービス」で見られるのは直近に放送されたごく一部のコンテンツにすぎず、放送開始後、徐々にSNSで話題になってきた番組の過去回を見られず、悔しい思いをした方も多いことだろう。
そこでお勧めしたいのが、今回紹介するパナソニックの「全自動ディーガ」だ。上位モデルでは最大10チャンネルのテレビ番組を28日間録画し続けてくれるので、まるで時を遡るかのような感覚で「テレビ番組」を鑑賞できる。しかもスマホアプリ「どこでもDIGA」を活用すれば、ちょっとしたすき間時間に、いつでも、どこでも溜まった「テレビ番組」を消化していけるのである。
まさに「ネット動画」感覚で「テレビ番組」を堪能できる「全自動ディーガ」の魅力について、長期貸し出しによる実体験に基づきレビューしていこう。
「全自動ディーガ」最大のメリットは、テレビ番組をまるごと自動で録画・消去してくれること。モデルによって録画できるチャンネル数、保存期間は異なるが、録画設定や消去などの面倒な操作をいっさい気にかけることなく、「全自動ディーガ」が黙々と「テレビ番組」をハードディスクに録り貯め続けてくれる。つまり、見たいときに、見たい番組を、録画予約なしで楽しめるわけだ。
「従来型BDレコーダー」、「全自動ディーガ」、「ネット動画」、「見逃し配信」を比較してみると、見逃してもあとから視聴できる、録画や消去の手間がかからない、スマホからも見られる、おすすめ・検索機能が用意されている、コンテンツ数が多い、コンテンツの種類が多い……などなど、「全自動ディーガ」と「ネット動画」の特長が共通していることがわかる。
もちろんネット動画には各サービスのオリジナルコンテンツが存在しているが、その一方でテレビの全番組がネットで配信されているわけではない。つまり、「全自動ディーガ」と「ネット動画」の両方を利用すれば、両者のいいとこ取りができるわけだ。
最新の「全自動ディーガ」は、テレビ番組を「ネット動画」同様に楽しめるように、ユーザーの趣味に合わせた番組を提案する「AIおすすめ」、早送り/早戻し時にプレビューを表示する「プレビューサーチ」、シリーズ番組を続けて鑑賞できる「次エピソード自動再生」という3つの機能が新搭載されている。これら目玉機能については、章を分けてレビューしていこう。
さて、「全自動ディーガ」には現在下記の5製品がラインナップされている。主な違いは4K放送対応の有無、チューナー数、そしてハードディスク容量だ。チャンネル数を重視するなら「DMR-2X602」、4K放送を録画したいなら「DMR-4X1002」、「DMR-4X602」、コスパを優先するなら「DMR-2X302」、「DMR-2X202」がオススメのモデルだ。目的と予算に応じて最適な1台を選んでほしい。
機種ラインアップ | |||||
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製品名 | 価格 | 4K対応 | チューナー数 | HDD容量 | 最大録画可能日数 |
DMR-4X1002 | オープン価格 | ○ | 11 | 10TB | 4K 1ch×13日、 ハイビジョン8ch×28日録画 |
DMR-4X602 | オープン価格 | ○ | 7 | 6TB | 4K 1ch×7日、 ハイビジョン4ch×28日録画 |
DMR-2X602 | オープン価格 | - | 11 | 6TB | ハイビジョン10ch ×28日録画 |
DMR-2X302 | オープン価格 | - | 7 | 3TB | ハイビジョン6ch×24日録画 |
DMR-2X202 | オープン価格 | - | 7 | 2TB | ハイビジョン6ch×16日録画 |
今回筆者は比較的お手頃価格な「DMR-2X302」をパナソニックから借用したので、本機を使って「全自動ディーガ」ならではの機能をじっくりとレビューしていこう。
録り貯めた録画から見たい番組を探す
「全自動ディーガ」が録り貯めた膨大なテレビ番組のなかから、見たい番組をスムーズに探せるのかちょっと心配していたのだが、番組サーチにはさまざまな手段が用意されていた。なかでもぜひ最初に試してほしいのが「録画数ランキング」と「再生数ランキング」。これは「ディーガ」のユーザーが録画または再生した回数をもとにしたランキングで、いま注目されている番組がひと目でわかる。SNSで今後話題になるであろう注目作を見逃したくないという人には非常に重宝する機能だ。
ジャンル別に番組を探したいのならリモコンの右ボタンを押して、「ドラマ」、「アニメ/特撮」、「バラエティ」、「よく見る映画」などのカテゴリーに移動しよう。ここにはいつも見ている番組だけが表示されるので、目的の番組に素早くたどり着ける。
今回本製品を試用してみて、ルーティン的に毎日チェックするのはこのカテゴリーに落ち着いた。ここさえ確認しておけば、いつもの番組の新たに録画されたエピソードを見落とす心配はないからだ。
家族で「全自動ディーガ」を利用する際に便利なのが「お気に入り」機能。家族それぞれが出演者やフリーワードを設定し、関連番組を表示可能だ。ただし当然ながら家族に、推しの出演者や、趣味嗜好がわかるフリーワードが筒抜けとなってしまう。あまりに特殊なフリーワードの登録は、避けておいたほうがよいかもしれない。
さて、最新「全自動ディーガ」の売りのひとつが「AIおすすめ」。これはチャンネル録画した番組の再生履歴をAIが分析し、ユーザー好みの「テレビ番組」を提案してくれる賢い機能だ。つまり番組を見れば見るほど、「全自動ディーガ」が勧めてくる番組の精度が上がっていくことになる。
今回は「DMR-2X302」を約2週間借用しているが、それだけの期間でも少しずつリコメンドの精度が上がっていくのを体感できた。タイトルではピンと来なかったが、試しに見てみると「なるほど!」と思わせてくれる。いままでチェックから洩れていた新たなテレビ番組に出会えるわけで、非常に有用な機能だと思う。
……ただ、家族も何度か使っていたので、その再生履歴がノイズとなったのか、「あれ?」と思うような番組も勧められた。とは言え、ちょっとずれたお勧めも新たな「テレビ番組」に出会える貴重な機会だ。結果オーライと言えよう。
見たいシーンを探せるプレビューサーチ
いかにも「ネット動画」ライクな新ユーザーインターフェースが「プレビューサーチ」。「全自動ディーガ」では録画番組の再生中にリモコンの下ボタンを押すと、画面の下に1分ごとのプレビューが表示される。好きなアーティストやタレントが出演しているシーンだけを視聴できるので、「タイパ」を飛躍的に向上させられるわけだ。
実際に使ってみた感想としては、プレビューは素早く表示されて、動きも非常に滑らか。「ネット動画」のように、インターネット回線の速度が遅いためになかなかプレビュー表示されずにイライラさせられるといったこともない。
実は筆者は「全自動ディーガ」の旧機種を利用しているが、この「プレビューサーチ」を非常に気に入った。一度本機能を体験してしまうと、従来機種では物足りなくなってしまうかもしれない。それくらい便利な機能だ。

「プレビューサーチ」は、お気に入りのアーティストの出演シーンだけを見たい、気に入った名シーンだけを繰り返し鑑賞したいという要望に応える便利機能。ニュース番組などもテロップで内容を判断できるので、短時間にチェックが可能だ
録り貯めたドラマや連続企画番組を一気見! 次エピソード連続再生
「ネット動画」と「テレビ番組」のもうひとつの大きな違いが、特定コンテンツの視聴可能話数だろう。たいていの「ネット動画」では、新番組の公開と同時に第1話から最終話までのコンテンツが一挙に登録され、時間が取れるときに、好きなだけ「一気見」ができる。「全自動ディーガ」なら「ドラマ・アニメお録りおき機能」を活用してこの「一気見」すらも「テレビ番組」で実現可能だ。「ドラマ・アニメお録りおき機能」とは「深夜」や「ゴールデンタイム」など特定の時間帯と「ドラマ」「アニメ」の2ジャンルの組合せを指定しておくと、そこで録画された番組は最大90日間保存されるので、ほぼ1クール分を撮り貯めておくことができ、時間があるときに「一気見」できる。放送開始時には気にしていなかったドラマを、徐々にSNSなどで盛り上がっているのを見て後半になってから見たくなった! というときにも、90日前まで遡って「一気見」することができるのだ。
そして、最終話まで録り貯めたアニメやドラマを「一気見」したいときに便利なのが、最新の「全自動ディーガ」に搭載された「次エピソード自動再生」機能。録画番組の終了10秒前につぎに再生する同番組のエピソードを通知して、そのまま再生が続行されるという、これまた「ネット動画」でよくある機能をテレビ録画で実現。これまでの録画機器のように、一度番組一覧に戻って次のエピソードを探して再生……といったようなわずらわしい操作で現実に引き戻されることなく、興奮冷めやらぬまま視聴を続けられるわけだ。
しかも3連続で無操作の場合には、「寝落ち」に配慮して連続再生を止めてくれるという親切機能も実装されている。「ネット動画」ではどのサービスでも「次エピソード自動再生」はスタンダードな機能として実装されているので、できてあたり前、と感じてしまいそうだが、録画機器でこれができると、改めて便利な機能だなと実感した。
自宅環境への導入のしやすさは?
「全自動ディーガ」の導入しやすさ、使い勝手についてもレビューしておこう。今回借用した「DMR-2X302」のサイズは430×60×199mm、重量は約2.9kg。Blu-rayディスクドライブも内蔵されているが、思ったより小さいというのが率直な感想。今回はテーブルに設置したが、これだけコンパクトならテレビ台は小さめのタイプでよさそうだ。
背面には地上デジタルアンテナ端子、BS/110CSデジタルアンテナ端子、HDMI映像・音声出力端子、USB端子、LAN端子を用意。USB端子はUSB 3.0仕様で160GB以上4TB以下のHDDを接続できる。ただしパナソニック純正、バッファロー、アイ・オー・データ機器などの外付けハードディスクが推奨製品とされているので、よほどの理由がなければこのなかから選択したほうが無難だ。

左からAC入力端子、内部冷却用ファン、地上デジタルアンテナ端子、BS/110CSデジタルアンテナ端子、HDMI映像・音声出力端子、USB端子、LAN端子。冷却用ファンは常時回転しているが、一般的な住宅家屋であればほとんど気にならない音量だ
設置、配線などについては特に難しいことはない。壁のアンテナ端子からアンテナケーブルを「アンテナから入力」端子につなぎ、「テレビへ出力」端子からアンテナケーブルでテレビへ接続。つぎに本機とテレビをHDMIケーブルで接続。最後にB-CASカードをB-CASカード挿入口に2枚挿せば準備完了だ。
あとは電源を入れてメッセージに従っていけばセットアップは完了する。だいたい15分ぐらいあればすべてのセッティングは完了するはずだ。ちょっと悩むかもしれないのはチャンネルの選択。「DMR-2X302」と「DMR-2X202」については、事前に録画するチャンネルを決めておこう。
リモコンについては筆者が元々「ディーガ」ユーザーで慣れているため、説明書を読まなくてもすぐに使いこなすことができた。ただし、それを差し引いても、わかりやすいリモコンだと思う。上下左右円形ボタンの周りに、「チャンネル録画一覧」、「おすすめ番組一覧」、「番組表」という多用するボタンが配置されており、持ち替えることなく片手で操作できる。1972年から「ビデオデッキ」を作り続けているパナソニックだけに、「リモコンの完成形」とも言える仕上がりだ。
膨大に録画できる「全自動ディーガ」、接続したテレビ以外で録画を見ることはできる?
たいていのご家庭では、「全自動ディーガ」のような録画機器はリビングのテレビに接続されることと思うが、それ以外にも寝室などにテレビがあって、そちらでも録画した番組を見たい! という希望もあるだろう。そういった場合にも、「お部屋ジャンプリンク」に対応したテレビであれば、家庭内LANを通じて「全自動ディーガ」内の録画番組を視聴可能だ。
また他社製テレビでもDLNAに対応したテレビであれば視聴できる場合が多いが、パナソニックでは動作保証していないので自己責任となる。
さらに、「全自動ディーガ」には、屋外からでも自宅内の「全自動ディーガ」にアクセスして、録画済みの番組を視聴できるスマホ向けアプリ「どこでもディーガ」を用意。スマホしかた持たない子供部屋からも視聴が可能になるし、たとえ出張への新幹線移動の途中であっても自宅で録画された番組を楽しむことができる。
この「どこでもディーガ」は無料で利用でき、最新バージョンでは、ピクチャ・イン・ピクチャ(PinP)再生、バックグラウンド再生、プレビューサーチ、番組概要文字数アップといった機能強化がなされている。
「テレビ番組」と「ネット動画」の垣根をなくす新時代のコンテンツプレイヤーだ
単にテレビ番組を録画し続けるレコーダーはこれまでにも存在していたが、最新の「全自動ディーガ」は「AIおすすめ」、「プレビューサーチ」、「次エピソード自動再生」により本当に「ネット動画」感覚でテレビ番組を楽しむことができる。
見たい番組はまとめて見る派の人や、推しのアーティストがいて出演シーンだけは網羅したいという方、あるいは、全ては見きれないので勘に頼って視聴番組を決めていたアニメ・ドラマファンといった人には特にお勧めしたい。
もちろん、Netflix、hulu、U-NEXT、dTV、DAZN、Paravi、DMM.com、radikoなどの視聴にも利用できるので、「ネット動画」を鑑賞するための「ストリーミングデバイス」としても利用可能だ。「全自動ディーガ」は「テレビ番組」と「ネット動画」の垣根をなくし、両コンテンツを存分に楽しめる新時代のコンテンツプレイヤーと言えるだろう。
(提供:パナソニック)
