ゲーム以外に写真・動画編集でも性能が期待できる新たなGPU
インテルGPU「Arc A380」搭載PCでしっかりゲームプレイできる? 15万円台のコンパクトデスクトップ「G-Tune PL-B-A380」を試す!
人気シューターを高フレームレートで楽しめる!
画質設定を絞ればAAA級タイトルもプレイ可能なゲーミング性能
これからの展開がますます注目されるであろうArc Aシリーズだが、第1弾としてリリースされたエントリー向けArc A380は実際どれくらいのゲームパフォーマンスを持っているのだろうか。G-Tune PL-B-A380をとおして、Arc A380の実力を探っていくことにしよう。
なお、G-Tune PL-B-A380のビデオカード以外のスペックは、CPUはCore i5-12400、メモリーは16GB(DDR4-3200 8GB×2)、ストレージは512GB M.2 NVMe SSDとなっている。現行パソコンのミドルクラスにあたる構成でゲーミングパソコンとしての性能に不足はない。これらのパーツがArc A380のボトルネックになることもまず考えられないだろう。
最初は、定番ともいえる3Dグラフィックスベンチマーク、「3DMark」(Ver.2.22.7359)でのパフォーマンス計測から。
DirectX 11のテスト「Fire Strike」では、フルHD(1920×1080ドット)のFire Strikeが9759、4K(3840×2160ドット)のFire Strike Ultraが2423というスコアに。DirectX 12のテストを行なう「Time Spy」では、WQHD(2560×1440ドット)のTime Spyが4396、4KのTime Spy Extremeが2029という結果になった。Direct X Raytracing(DXR)のテスト「Port Royal」のスコアは1651。
Arc A380はエントリー向けGPUなので、最近のメインストリームのビデオカードと比べると全体的にスコアは低めだが、Fire Strikeは10000近いスコアを記録しており、ベンチマーク中のフレームレートも40~60fps出ていた。やはりゲームプレイはフルHD解像度が基準となりそうだ。
また、レイトレーシングテストのPort Royalは決して高いスコアではないものの問題なく実行できており、Arc Aシリーズのレイトレーシング機能がちゃんと有効であることを確認できた。
次に、こちらも定番のゲームベンチマークから「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」での計測を。解像度はフルHD(1920×1080ドット)固定とし、画質設定のプリセットから「最高品質」「高品質(デスクトップPC)」「標準品質(デスクトップPC)」の3パターンを試した。
スコアは標準品質が14725で“とても快適”の評価を得られた。最高品質と高品質のスコアはそれぞれ8211、8745と差が少なく、いずれも“快適”の評価となった。平均フレームレートをみても標準品質が抜けて高く、スムーズなプレイが可能と考えられる。
一方、高品質と最高品質でも平均フレームレートは60fps近く出ており、時折カクつくシーンはみられるかもしれないが、この画質設定でもプレイできないことはなさそうだ。
続いて実ゲームでのパフォーマンスを探っていこう。実ゲームのフレームレート計測には「CapFrameX」というアプリを使用。計測は平均フレームレートのほかにデータ全体を100分割して最小値から1%の数値「min(1%)」を割り出し、これを最小フレームレートの代わりに記載している。
まずは人気のバトルロイヤル「Apex Legends」から。解像度はフルHD固定とし、グラフィックス設定はアンチエイリアス「TSAA」の状態をベースにして、そのほかすべてのオプションを最高にした“最高設定”でチェック。さらに、テクスチャストリーミング「高(4GB)」、テクスチャフィルタ「異方性x4」、モデルディテール「高」にして、残りのオプションはすべて「低」または「無効」とした“競技設定”の2パターンの画質設定を用意した。
計測方法は射撃訓練場で特定のルートを移動したのちに「バンガロール」の「スモークランチャー」を射出して煙がなくなるまで待機するという一連の動きに対してのフレームレートを計測している。
最高設定での計測結果は平均フレームレートが60fpsに届かず、FPSゲームのオンライン対戦をこの設定で行なうのは少々厳しいといわざるを得ないだろう。一方、競技設定では平均フレームレートが100fpsを大きく超えてmin(1%)も60fpsを上回っている。高リフレッシュレートのゲーミングディスプレーを使用したり、もしくは60fps固定の安定フレームレートを狙ったりなど、快適なプレイが期待できそうだ。
続いて、こちらも人気を集める基本プレイ無料のタクティカル系FPSゲーム「VALORANT」のパフォーマンスを検証していこう。グラフィックス設定は、フレームレート上限解除とV-Sync無効以外、すべてのオプションを「高」または「オン」にした“最高設定”と、アンチエイリアス「MSAAx4」、異方性フィルタリング「x4」以外はすべて「低」または「オフ」にした“低設定”を用意。解像度はフルHDとしている。
射撃場を1周した後、BOTに対してライフルを4マグ分乱射するという一連の動作でのフレームレート計測を行なった。
昨今の人気シューターの中でもVALORANTはとくに軽量なゲームとしてしられており、最高設定でも平均フレームレートは144fpsを超えてきている。エントリー向けGPUであっても高リフレッシュレートのゲーミングディスプレーを存分に活かせるタイトルだ。さらに低設定にまで画質を絞ればリフレッシュレート240Hzのゲーミングディスプレーとの組み合わせも視野に入ってくるだろう。
次は、スパイダー・ウェブを使ってビルの合間を駆け回るワイヤーアクションが爽快な「Marvel's Spider-Man Remastered」のフレームレートを計測した。
グラフィックス設定はフルHD解像度にアップスケールの「IGTI・品質」を適用した状態をベースとし、プリセットから「非常に高い」と「中間」の2パターンを適用している。マップの特定区間を連続スイングで高速移動した際のフレームレートを計測した。
計測結果は、プリセット「非常に高い」でも平均フレームレートは60fpsを超えていて、少々モタつくと感じる場面もあるが、概ねプレイに支障はないパフォーマンスが出ていたように思う。一方でプリセット「中間」まで画質を絞れば、ほとんどのシーンで60fpsを超えるようになってかなりスムーズに遊ぶことができた。本タイトルはプリセット「中間」でのプレイがオススメだ。
ただいくつか気になった点もあり、例えば影の描画やアンビエントオクルージョン表現が正しくなかったり、アップスケールの「FSR2.0」適用で画面にノイズが生じたりといった場面があった。Arc A380はまだ出たばかりのGPUなので、このあたりはドライバー・アップデートでの解決が待たれるところだ。
最後に、超重量級タイトルとして現在でもよく引き合いに出される「サイバーパンク 2077」のベンチマークを実行してみた。最近「サイバーパンク 2077」はアニメシリーズが公開されたことで再び注目を集めており、気になっている人も多いのではないだろうか。
解像度はフルHD固定とし、グラフィックス設定はクイックプリセットから「高」「中」「低」の3パターンを切り替えてベンチマークを実行している。
ベンチマーク結果をみると、さすが超重量級タイトルだけあってクイックプリセット低でなんとかほぼ平均60fpsに到達しているという状況だ。この設定で実際にプレイすると街中でのフレームレートは大体40~50fps前後となる。ヌルヌルというわけにはいかないがゲームを進行する分には問題ないパフォーマンスだ。フレームレート60fps固定での快適プレイを狙いたいとするなら、Arc A380では少々力不足かもしれない。
以上、ここまでいくつかのゲームを実際にプレイしてみた所感として、Arc A380はエントリー向けGPUではあるものの軽・中量級のシューターであれば高リフレッシュレートでのゲームプレイが可能。AAA級タイトルになるとフルHD解像度でもアップスケーラーとの組み合わせがほぼ必須といった感じになるが、よほど重いタイトルを除けば設定次第で60fpsの維持も難しくなさそうだという印象を持った。
またAAA級タイトルプレイ時はビデオメモリー使用量が4GBを超えてきており、ライバルとなるNVIDIAやAMDのエントリー向けGPUに対して、Arc A380のビデオメモリーの6GBは大きなアドバンテージになっていると考えられる。