EVMのSolidityを中心に疑似的にレイヤー1同士がつながる
Milkomedaは、複数のブロックチェーンをまたぐ分散型アプリ(DApps)の開発をしやすくするためのプロジェクトだ。
名称の由来は天の川(Milky way)とアンドロメダ星雲(Andromeda)。2つの巨大なブロックチェーン基盤をつなげる役割を持たせたいという意味を含んでいる。分散型アプリの取引処理を自動化する仕組みを“スマートコントラクト”と呼ぶ。Milkomedaでは、このスマートコントラクトをEVM上で実現するためによく利用されている“Solidity”という言語を活用しつつ、主要なレイヤー1型ブロックチェーンのロールアップに対応していく取り組みだ。
Milkomedaでは、まず、EVMを持たないnon-EVM型のスマートコントラクトシステムを持つCardanoとイーサリアムを接続する機能を開発した。Cardanoにおけるスマートコントラクト開発言語はHaskellをベースにしたPlutusだが、開発難度が高いとされていた。しかし、Milkomedaを利用すれば、Solidityを用いたスマートコントラクトの開発が可能になる。つまり、疑似的にCardanoにEVMを搭載することができるのだ。
Algorandとの連携やSolidity以外の言語を導入検討
Milkomedaでは、Cardanoの新機能であるDjedというアルゴリズムステーブルコインや、新しいタイプのDEX、Cardanoとイーサリアムトークンの両方を管理できるウォレットの開発など様々な展開を進め、EVMチェーンとnon-EVMチェーンの接続技術を獲得した。また、Milkomeda財団のディレクターであるSebastien Guillemot氏は、EVMを搭載しているSolanaとカルダノの接続も模索。さらに最近、non-EVMシステム同士の接続についても開発を進めている。
具体的には、米国のMIT発祥のブロックチェーン「Algorand」との連携を表明。数ヵ月前からテストネット上での運用を続けており、近くメインネットでのローンチに移行する計画だ。これにより、EVMと互換性を持つSolidityで書いたDAppsをAlgorandのエコシステムと連携することが可能となる。CardanoとAlgorandがMilkomedaによって接続されることにもなる。
Milkomedaでは、イーサリアムのスマートコントラクト作成で人気のあるSolidityを使い、複数のレイヤー1型ブロックチェーンに向けたアプリをコードの書き換えなしに開発できる世界を目指している。さらに、Solidityに限定せず、様々な言語を使って作ったアプリをEVMで実行できるようにしたいという考えも持っているそうだ。
一例がMoveだ。Moveは、Metaが始めた仮想通貨プロジェクト「Libra(現Diem)」で利用されてきたRustを基礎とする開発言語である。Moveは開発者の間で人気があるが、イーサリアムが新しい言語を導入することは難しい。Milkomedaがこうした言語を扱えるようになれば「新しい可能性が見えてくるのではないか」としている。
一方で、Milkomedaが基盤とするCardanoチェーンにおいても、9月の大型アップデートにより様々な新機能が追加されている。Vasilと呼ばれるアップデートでは、スマートコントラクトの自由度向上やHydraと呼ばれるCardano上でのレイヤー2ソリューションの展開などがある。また、前述のDjedや新しい分散型金融サービスの展開も控えている。これらに関してもMilkomedaは対応を検討している。
