Sonosの機器同士の連携だからできること
最近はPCやスマホを使って、周波数特性などが測れる。筆者もレビューなどで音を聴く際には、簡易的に周波数特性も見るようにしている。厳密なものではないし、部屋や周囲の騒音なども受けるためあくまでも参考程度だが、少しコメントしておこう。
Rayは単体で使うと100Hz付近に大きめの山があり、なだらかに40Hzぐらいまで落ちていく。さらに下の帯域は急激に下がる。これにSub Miniを追加すると、低域のピークが50Hz、40Hzといった深いところまで落ち、ローエンドの落ち込みも緩やかになる。同時に100Hz付近に合った低域の山はなくなり、中低域から低域のフラットさが向上することになる。
おそらくSonosの製品は連携する機器の情報を参照し、その組み合わせに合った適切な調整を加える機能を持っているのだろう。再生能力に制約がある小型のスピーカーではそれに合ったまとめ方、サブウーファーを追加してよりワイドレンジな再現ができる場合はメインスピーカーの特性をよりフラットにするといったパラメーターの調整を選択するといった具合だ。このあたり、製品の特性がよくわかっている自社の製品同士の組み合わせだからできる面もあるだろう。
サブウーファーは、映画などで迫力ある効果音を演出するために追加されることが多いが、RayにSub Miniを追加すると、その上の帯域の再現も向上することになる。Space Stationの機内映像で臨場感が増したのは、中域の再現力が上がり、より多くの情報を感じ取れた点も関係しているだろう。映画を視聴している際にも、没入感を高める効果音などが明瞭になり、セリフなども聞こえやすくなった。Sub Miniを追加することで、より適切な再生に近づいていくことを実感できた。
Sonos製品ではさらに「Trueplay」という自動補正機能も利用できる。各スピーカーから出る音を、部屋の様々な部分でiPhoneのマイクで計測し、部屋の環境に合った適切なものに補正する機能だ。TrueplayはiOS版アプリのみでの対応だが、計測さえ済ませればその結果を本体が記憶するという。Trueplayを適用すると全体の凹凸が少ないより滑らかなカーブになることが確認できた。
Sub Miniの直販価格は6万4800円。Sonos Rayの3万9800円よりも高価にはなるが、ワンランク上の再生を目指すなら追加する価値があるように思えた。本体も幅230mmとコンパクトだ。設置スペースが確保しやすいだけでなく、箱からの取り出し方を含めて設置の手順も簡単になっている。
Sonosは音質に加え、操作性、デザイン性も重視しているブランドだ。大型の製品は、梱包を解くだけでも苦戦しがちだが、Sub Miniは外箱を開き、電源ケーブルなどが入っている上部の箱を取り除き、本体を上に引き出せば終了という簡便さだ。ネットワークでの連携になるので、すでにSonosのサウンドバーが導入されている環境であれば、電源ケーブルをつなぎアプリで操作するだけで設定が完了する。
Sonos製品のいいところは、こうしたアウトボックスの手間にも配慮している点だ。製品は家に届き、設置する瞬間に一番テンションが上がるものだが、ここが煩雑だと興覚めになりやすい。一人でも簡単かつストレスなく箱から出せる点は見逃されがちだが、購入後の満足度を上げるために重要だと思う。