中小企業におけるクラウド活用やDX/DcX推進を間接的にサポートする狙い
インテル、SaaS事業者対象のビジネス/技術支援プログラムを発表
2022年09月22日 07時00分更新
インテルは2022年9月21日、SaaS事業者を対象としたビジネス促進支援、および技術支援活動を行う「インテルSaaS Market Acceleration Program」を発表した。2022年第4四半期(2022年10~12月)から開始する。
インテル 社長の鈴木国正氏は、同プログラムの狙いについて「SaaS事業者をビジネス面、技術面の双方から支援することで、中小企業のクラウド活用を促進することができると考えている」と説明。中小企業におけるDX/DcX(データセントリックトランスフォーメーション)の実現やクラウド利活用の推進を目指し、国内の成長産業を支援していく方針を明らかにした。
「ビジネス」「技術」の両面からSaaS事業者をサポート
今回発表したインテルSaaS Market Acceleration Programでは、「ビジネス支援」と「技術支援」の2つの観点から、SaaS事業者に対する支援活動を行う。
2022年第4四半期から提供する「ビジネス支援」では、外部イベントやインテル主催イベントへの参加機会の提供、さらにインテルがカバーする幅広いユーザー層とのマッチメイキングの場を提供する。
インテル 執行役員 インダストリー事業本部 本部長の張 磊氏は、「SaaS市場の拡大やSaaS事業者の市場における認知度向上、新規顧客の確保、顧客契約を維持するLTV(Life Time Value)の向上、経常収益の最大化などについて支援を行う」と説明する。
こうした活動において、インテルはスマートキャンプとの協業を発表。日本のSaaS市場の成長を支援することを目的に、共同でのイベント開催、マーケティング活動を実施する。
一方、2023年以降に提供する「技術支援」では、インテルのクラウド・ソリューション・アーキテクトが、SaaS事業者を対象にしたワークショップやテクノロジーセミナーを開催。最新プロセッサーの概要説明やソフトウェア戦略の提案、クラウドセキュリティをはじめとした最新技術情報などを共有するほか、アプリケーションの最適化支援や、インテルのアクセラレータ技術との融合、コスト最適化支援を実施する計画。また、最適化を実現するための自動化ツールの提供、継続的に最適化を行うための各種ツールの提供を行うという。
「新たな技術の活用支援のほか、ソフトウェア開発者を中心としたIT人材の確保と教育、技術を活用したコスト削減、セキュリティ対策の強化などの支援を行う。SaaS事業者の技術的課題に対するアドバイザリー支援を提供することになる」(張氏)
インテルでは、クラウド市場向けにXeonプロセッサーを展開しており、同分野ではおよそ3億個が稼働しているという。インテル DCAIセールス クラウド・ソリューション・アーキテクトの松田貴成氏は、Xeonプロセッサーの性能の高さ、柔軟性、コストメリット、セキュリティといった特徴が「クラウド市場の成長を牽引してきた」と、果たしてきた役割を強調する。
たとえば最新の第3世代Xeonスケーラブルプロセッサー(Xeon-SP)では、最大40コア/80vCPUを実現。メモリーインターフェースの拡張、インテルSGXおよび暗号化アクセラレータの採用、インテルAVX-512の最新命令セットの搭載、IPC(Instructions Per Cycle)の20%向上といった特徴を持つ。
「CPUの提供だけでなく、インテルのクラウド・ソリューション・アーキテクトがクラウド事業者の環境下でワークロードを実行してベンチマークを計測し、最適化手法を確立している。また、データベースを構築する際に最適なパラメータセッティングも実現している」「インテルSaaS Market Acceleration Programでは、SaaS事業者の技術的な困りごとを聞き、インテルができることを技術面から支援する」(松田氏)
中小企業のDX/DcX推進につなげ、日本の産業成長を促す
インテルでは、DX/DcXを促進する原動力として“4つのSuperpowers”を打ち出し、そのうちのひとつに「クラウドからエッジまでをつなぐインフラストラクチャー」を挙げている。
鈴木氏は「インテルは半導体を提供するだけでなく、産業の成長を支える役割を担う企業。ほかの分野と同様に、クラウド分野においてもエコシステムパートナーとともに、エンドユーザーのDX/DcXを推進することを目指している」と意気込みを見せる。
「日本市場の特徴は、クラウドを利用している中小企業が49%に留まっていること。中堅企業の76%、大企業の78%と比べて利用率が低い。その背景にあるのは『デジタル人材の不足』『セキュリティに対する不安』『コストに対する懸念』である。日本の企業数の99.7%を占める中小企業を支え、発展させることは日本の産業の成長にとっても重要なことだ」(鈴木氏)
鈴木氏はそう述べたうえで、中小企業の支援者となるSaaS事業者に対してどんなサポートができるのかを考えた答えが、今回のプログラムだと説明した。「SaaS事業者をサポートすることで、日本の企業の99.7%を占める中小企業のクラウド利用を促進するという新たな着眼点での取り組み。時間はかかるが、確実に成果を出していきたい」(鈴木氏)。