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業界人の《ことば》から 第503回

経営にエールを贈る「ケイエール」とは? 中小企業の日常業務をデジタル化

2022年09月12日 12時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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NTTグループとの連携で取り組む

 信金中央金庫がケイエールの普及を軸としたデジタルへの取り組みにおいて、協業体制を敷くことを発表したのが、NTT東日本とNTT西日本である。

 信金中央金庫と、NTT東日本、NTT西日本は、2022年8月30日に、業務提携することを発表。ケイエールの普及拡大とともに、中小企業のDX実現に向けたサポートを推進。また、NTT東日本およびNTT西日本は、信用金庫自らのDX推進に向けたサポートや、デジタル技術を活用した地域活性化、ビッグデータの活用に向けた連携強化に取り組む。

信金中央金庫の柴田弘之理事長(左)と、NTT東日本の澁谷直樹社長(右)

 とくに、信用金庫のDXという観点では、信用金庫のデジタルリテラシーの向上、ネットワークの効率化や高度化、ペーパーレス化やマニュアルの電子化などによる業務のDX推進、デジタルによる顧客接点強化を支援するほか、コンタクトセンターの高度化およびチャットボットの活用、顧客の声の分析といったNTT東日本および西日本が持つノウハウも提供することになる。

 柴田理事長は、「信用金庫業界は、全国に張り巡らされたネットワークと、中小企業との強固なリレーションを有している。NTT東日本およびNTT西日本も同様に、全国で地域に根ざしたデジタルサービスを提供してきた実績とノウハウを有している。3者の強みを掛け合わせることで、地域経済を担う中小企業の1社、1社にDXを浸透させることが可能になると考えている」とする。そして「ICTソリューションの提供やDX人材の育成支援などにより、信用金庫自身のDXの実現に対する支援にも期待している。これによって中小企業の課題をデジタルで解決することができる」と語る。

 また、NTT東日本の澁谷直樹社長は、「NTT東日本は、『地域の未来を支えるソーシャルイノベーション企業』として、地域が抱える社会的課題、少子高齢化や後継者不足、温暖化対策などの課題に取り組むこと、地域のDXを支援する目標を掲げている」と前置きし、「地方創生の実現に向けては、地域経済の柱である中小企業のDXが重要であり、地域金融機関とのコラボレーションが非常に重要になってくる。信用金庫が持つ経営力と地域密着の強み、NTT東日本および西日本が持つデジタル力を組み合わせて、地域の活性化、日本を元気にすることが提携の狙いである。経営指導や金融は信用金庫、デジタルおよびICTの支援はNTT東日本および西日本が行うことで、国家的課題である中小企業の生産性向上と、付加価値向上に貢献できる」とする。

 これまでにも信金中央金庫とNTT東日本は、2019年の経産省による地域のキャッシュレス化の推進おいて連携。2021年1月には、信用金庫向けコミュニケーションアプリ「しんきんdirect」において連携し、リモートによる接客対応を支援してきた。

 「この関係をより発展させて、地域の中小企業のDXにともに取り組むことになる。ケイエールを起爆剤に、信金中央金庫や地域の信用金庫の裏方として、しっかりと支え、中小企業に伴走していく。地域を支えるという意味では、企業文化や価値観が同じであり、ラストマイル機能を持つ両者が掛け合わさることで、中小企業や地域のDXを支援できる」と、NTT東日本の澁谷社長は自信をみせる。

 信用金庫、NTT東日本、NTT西日本という中小企業や地域に密着した企業が連携することで、遅れている中小企業のDX推進をいかに加速させることができるか。中小企業のデジタル変革に大きな追い風が吹きそうだ。

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