日本電信電話(以下、NTT)とエヌ・ティ・ティ・コムウェア(以下、NTTコムウェア)は8月30日、データ通信量を制御することで途切れにくいウェブ会議を実現できる体感品質・データ通信量最適化技術(以下、Mintent)を確立したと発表した。
サービス利用者や提供者がサービスに求める要件(インテント)がサービスごとに異なることに注目し、両社では従来から開発を進めてきという。
例えばウェブ会議サービスの利用者は途切れにくいウェブ会議を利用したいという要件、映像配信のサービス提供者はサービス利用者の視聴時間を長くしたいという要件、コネクテッドカーのサービス提供者は車内外の状況から異常を検知したいという要件がある。このような異なる要求を満たすためにはネットワーク、クラウドサーバ、アプリケーションのリソースを無制限に用意することになり、サービス利用者や提供者の要件をネットワーク、クラウドサーバー、アプリケーションが解釈可能な数値情報に変換する技術を確立し、そこから得た情報に基づきICTリソースを制御する技術を確立することが重要となる。
とくにリモートワークが普及してウェブ会議サービスの需要が高まっているが、従来のウェブ会議サービスは、サービス利用者の端末が高いスループットの高速回線に接続した場合などには映像品質を高めるために過剰なデータ通信量で映像を送信し、既存回線に接続した場合は回線の輻輳などによってスループットが大きく変動すると、急に映像品質の低い小さい映像データでの送信に対応できずウェブ会議が途切れてしまうなどの問題が発生していた。
Mintentでは、各サービス利用者の数十秒程度将来の体感品質が適正品質を満たすための送信映像データ通信量をウェブ会議サーバーから得られるビットレートなどの映像情報から計算し、適正品質を維持可能なデータ通信量を利用端末に指示することにより、適正品質を満たしつつデータ通信量を低減することができ、途切れにくいウェブ会議を実現したという。
両社はMintentをウェブ会議サービスに組み込み、ウェブ会議の映像や音声の体感品質を保ちながらデータ通信量を最大63%低減できることを共同実験で確認。NTTコムウェアは今回の共同実験で得られた結果を踏まえ、Mintentを資料共有型のウェブ会議サービス「letaria(レタリア)」に組み込み、Mintentを活用した初めての商用サービスとして8月3日より提供を開始した。
共同実験では、Mintentを組み込んだletariaを利用するパソコン2台、スマホ1台でウェブ会議を実施し、その際の体感品質とデータ通信量を計測。体感品質は5段階品質尺度(非常に良い、良い、ふつう、悪い、非常に悪い)に基づき、体感品質3.5はサービスを「ふつう以上」と評価するサービス利用者が90%以上になることが知られているためこれを適正品質としている。
従来技術では、サービス利用者の端末が高速な通信回線に接続すると、適正品質以上の過剰な体感品質で、かつデータ通信量も多い結果が得られたのに対し、Mintentでは、サービス利用者が、適正品質でサービスを体験しながら、従来技術と比較してデータ通信量を最大で63%低減できることを確認したという。