ハイエンドクラスの2製品を紹介
GO barは、ほかの製品に比べるとやや高めの価格設定で、ハイエンドクラスの製品と言えるだろう。イヤホン端子は4.4mmと3.5mmの2系統を装備している。スマートフォン側にはUSB Type-C端子があり、付属ケーブルの差し替えでAndroidにもiPhoneにも対応できる仕組みだ。小型ながらMQAのフルデコードに対応するほか、iFI Audioの特徴的な技術がほぼ全て搭載されているのも特徴だ。
サウンドは透明感が極めて高く、音の広がりも優れている。その透明感の中で細かな音が浮き上がるように聞こえ、解像度の高さが感じられる。また、オーディオメーカーらしく中低域にも厚みがあり、本格的な音作りの製品になっている。
高感度イヤホンで試すと、「IE Match」の効きがよくわかる。IE Matchはイヤホンのインピーダンスや感度に合わせて、出力を調節できるアッテネーターだ。高感度のイヤホンではプレーヤー側のボリュームを下げるよりも、IE Matchをかけて敢えて高いボリューム位置にしたほうが、ダイナミックレンジが豊かな本来の再現ができると言うことだ。
AK HC2は、アダプターを使用することでiPhoneのLightning端子に接続できる。その分長くなるが、ケーブルが短めなので大きな問題はない。こちらは4.4mm端子のみと言う思い切った設計だ。機能的にもシンプルでDSPのような付加機能はない。音質に振り切った設計という感じだ。
サウンドはまず小さな筐体にしては音場が広いことに感心した。透明感の高さに加えて力感がある。実際にかなりパワーがあるので能率が低いダイナミックイヤホンやハイインピーダンスのヘッドホンなどにも良いだろう。全体的な音質のレベルはAK HC2よりも高価なDAPと比べても引けを取らないだろう。
GO barはIE Matchの能力を活かして低インピーダンス/高感度のマルチドライバーイヤホンを使うのに向いている。また、AK HC2は小型ながらパワーが大きいのでダイナミックドライバーのイヤホンやヘッドホンを使うのに向いている。
いずれにせよ、両機種とも小型のボディから出るとは思えないような高音質が楽しめた。メイン機としても十分に価値があると感じた。ただし、電力消費がかなりある点も知っておきたい。PCではなくスマートフォンやタブレットと使う場合には、モバイルバッテリーなどを携行しておいたほうが安心だ。
また、ドングル型USB DACは、スマホ側のバッテリーが少なくなっていたり、USB端子から安定した電力供給ができなかったりする場合は、うまく認識しないといった不具合が出ることがある。特にiPhoneではシビアだ。
とはいえ、こうしたスマートフォン対応オーディオ製品を黎明期から追っている身としては、Android機器はともかくアップルがiOSでよくこうした電力供給を許しているものだと感心してしまった。当初iOSではUSBオーディオ機材を接続するとちょっとした消費電力の差異でもすぐに使えなかったものだ。
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