宇宙航空研究開発機構(JAXA)や海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰った粒子を分析し、地球の水の起源について、始原的天体中の粗粒含水ケイ酸塩鉱物が有機物や水のゆりかごとなり、そのままの状態で地球に運ばれた可能性が考えられるとの研究結果を発表した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)や海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの共同研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰った粒子を分析し、地球の水の起源について、始原的天体中の粗粒含水ケイ酸塩鉱物が有機物や水のゆりかごとなり、そのままの状態で地球に運ばれた可能性が考えられるとの研究結果を発表した。 研究チームによると、はやぶさ2が持ち帰った試料に見られる鉱物の組み合わせは、リュウグウ粒子が形成後に大規模な水質変成を受けたことを示しており、微細な鉱物と有機物を含む領域の水素と窒素同位体組成の関係からは、同粒子の構成物質が太陽系外縁部で形成されたことが示唆されるという。さらに、粗粒の含水ケイ酸塩鉱物中に、脂肪族炭素に富む有機物が濃集しており、この特徴はこれまでの隕石の研究では確認されていないため、リュウグウ天体に特有のものと推察されるとしている。 小惑星リュウグウは、加熱などによる様々な変成・変質を受け続けている地球と異なり、46億年前に太陽系が形成された頃の有機物や含水鉱物を今も残している可能性がある。リュウグウから持ち帰った試料に含まれる有機物や鉱物の化学的情報を得ることで、太陽系の形成史だけでなく、地球の水の起源や地球生命に至るまでの有機物進化過程などの解明が進むことが期待されている。 今回の研究成果をまとめた論文は、英国のオンラインジャーナル、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に2022年8月15日付けで掲載された。(中條)