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第8回 and SORACOM

IoTプロジェクトを軌道に乗せるSORACOM Professional Serviceにも高い評価

プラントの巡回点検を自動化する防爆ロボット「EX ROVR」とSORACOM

大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ソラコム

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テストランまで3ヶ月 Professional Serviceに熱い支持

 SORACOM導入を検討し始めたのは、自動走行用のソフトウェアが完成に近づいた2019年頃だ。EX ROVRを遠隔から操縦したり、カメラ、温度計、ガス検知器、熱画像カメラ、マイクなどのデータを取得するのにも通信機能は必須になる。カメラ映像をクラウドにアップデートしたり、EX ROVRの動作を監視するのにも通信は欠かせない。複数台の管理や海外での利用を前提としたSIMとして、SORACOMが選択肢に上がってきた。

 とはいえ、導入は一筋縄ではいかなかった。従来、三菱重工のロボットは、遠隔監視やデータの送受信も専用線とデータセンターを用いていたため、インターネットとクラウドを用いるいわゆるIoTのプロジェクトは、社内でも初めてに近かった。クラウドにデータを上げることが目標なのに、その手前の通信の部分を作り込む必要があり、クラウドの利用に関しても、セキュリティの観点から社内のOKがなかなか出なかった。ものづくりはプロだが、IoTのプロジェクトは未知の領域だった。

 これに対しては、ソラコム自体がプロジェクトを支援する「SORACOM Professional Service」が大きな効果をもたらした。SORACOM Professional Serviceは、ソラコム自身の知見を元にしたコンサルティングサービスで、ワークショップやセッション形式でIoTプロジェクト自体の立ち上げや推進を支援する。小島氏は、「SORACOMを使って、どうやってシステムを作っていけばいいか、クラウドまで含めて包括的にアドバイスいただけました。クラウドアレルギーの方に向けた資料作りまで手伝ってもらい、とても助かりました」とコメント。同席したメンバーからも熱い支持が寄せられた。

 SORACOMサービスの使いやすさ、ソラコムの支援もあり、いったん導入が決まってからは、テストランまでは約3ヶ月だったという。「わざわざ通信を作り込む必要もないし、セキュリティもサービスとして実装されている。簡単にクラウドにデータを流し込めるので、驚きでした」と小島氏。とにかく短時間でプロジェクトを立ち上げたことが、説得力を持ったという。社内からも「こんなに早く立ち上げられると思わなかった」と驚きの上がったという。

 SORACOM導入から1年後には北米の現場に実機を置いてテストまでこぎ着けた。これが社内的には大きかった。三菱重工業 原子力セグメント 機器設計部 技監・主幹技師 大西献氏は、「日本のメンバーはクラウド経由でワクワクドキドキしながらその動画を見ていました。やはり1年でお客様の元で動かせたというイベントは大きかった。お客様からもきちんと入金があり、ビジネスとして動いていることを証明できました」と振り返る。プラントや大型機械の製造が本業である同社の新機軸の事業として経営陣からも期待されている。

第二世代のEX ROVR「ASCENT」いよいよ世界へ SORACOMとともに

 EX ROVRで利用されているのはグローバルSIMと呼ばれる「SORACOM IoT SIM」で、本体と操作用の端末に1枚ずつ挿し、SORACOM Gateで両者をセキュアにつないでいる。「以前はキャリアの電話用のSIMを使って、自らVPN網を構築していたのですが、SORACOM導入後はVPGによる設定だけで、かなり楽になりました。コンソールも使いやすい。SIMの枚数も今は数十枚ですが、百枚になってもやっていけそうだなと思っています」(小島氏)と語る。

 要望としては、通信カバレッジとコスト。大西氏は、「オイル&ガスのプラントは、ナイジェリアやサウジアラビアの砂漠の中や、ブラジル沖や北海の荒波の中のように、けっこう通信の難しい環境が多い。通信が難しいところほどコストも上がりますので、ここらへんは課題ですかね」と語る。

 現時点では、データをAWSベースのクラウドにアップロードするところまでできており、今後はデータから異常検知するところまで持っていきたいという。「ロボットが採取した音から不具合や異常を検出するというのは必要な機能。より賢くするための開発が今後の課題ですね」(小島氏)。今後はお客様の要望をきちんと聞いて、改善・改良するフィードバックを得られるようにしていく。製造業としてのものづくりは得意だが、サービス作りはやはり課題。データの利活用については、クラウドも含め、ソラコムに相談しているという。

 4月にリリースされた第二世代のEX ROVRは「ASCENT」と名付けられ、すでにENEOSの導入が決まっている。市場としては海外の方が大きいと見込んでおり、海上プラントを持つ海外のオイル・ガス企業の導入も決まっている。「グローバルで見たら、オイル・ガス大手が支援するベンチャーもいますが、性能はEX ROVRの方が段違いに高いはず。とはいえ、防爆モビリティ自体がまだできたばかりの製品ジャンルなので、認知度を上げて、ビジネスにつなげていきたいです」と大西氏は語る。

(提供:ソラコム)

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