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次のIoTの姿が見える!SORACOM Discovery 2022レポート

SORACOM Discovery 2022で披露されたメーカー発新規事業の舞台裏

アシックスとオムロンが語る新規事業の進め方 鍵はスモールスタートとフィードバック

柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

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2022年、新規事業を始めるならスモールスタートとコロナがポイント

 続けて、ソラコムの二神氏よりアシックスとオムロンの二人へ質問が投げかけられた。

1:新しい技術がどんどん生まれていますが、新規事業を進めていく際、テクノロジーをどのように活用されましたか?

「テクノロジーと言うと、すごく難しい感じになりますが、結局、利用する方々にちょうどいい価格であったり、ちょうどいい簡便さといったところにテクノロジーを利用することが重要な要素だと思っています。TUNEGRIDはそこにかなりこだわっていますね」(坂本氏)

「弊社のロボットに関しても、ゼロから作ったわけではなく、たとえばブラシに関しては、清掃に関して知見のあるメーカーさんと一緒に作りました。当然、苦労した部分はありますが、ゼロから作るよりは1年くらいでプロトタイプにして、そこからは現場で使ってトライアンドエラーをしました」(澤村氏)

2:スタートアップではないので、社内の協力やパートナー企業との連携とという話もあると思います。その点はどうでしたか?

「私が来る前の1年間ぐらいはヒアリングしていて、それでロボットがいけそうだというところから、新規事業開発をしようとグループができました。その時に私も来たので、組織は協力的でした。ただ、実際に進めていくと、既存事業の開発プロセスや既存のやり方に囚われてしまう部分はありました。自動改札機とか信号制御はミスが絶対許されないので、最初に仕様をしっかりと固めてから、ウォーターフォールモデルで開発を進めてますが、ロボットは最初の段階で仕様をがちっと決めるのは難しいので、お客さんの声を聞きながら、どんどんバージョンアップバージョンアップしていかなければなりませんでした」(澤村氏)

「体制という意味では本当に反発されました。2017年頃は、言葉にはされませんでしたが、おそらく会社としては『あいつ1人勝手にやらしとけや』という空気だったと思います。しかし、PoCをやっていると、他社の人たちが面白いポテンシャルあるよね、という形で一緒に組むことになりました。今日もそうですけど、なんか面白いことやってるな、とメディアからの取材があったりして、いつの間にやら、社内のTUNEGRIDって誰がやってんの? みたいな形になってきました」(坂本氏)

3:2022年、このタイミングから新規事業をやるとなると、どういうところに気をつけたらいいのでしょうか。

「今なら、もっとスモールスタートでもよかったな、と思っています。(今回の)ロボットはいくらスモールにしたところで1年半くらいはかかってしまいました。もっとスモールスタートでもよかったのかなと思ってます。それをお客様に当てて、実際にフィードバックをいただくことで、さらにいい事業にできたかもしれません」(澤村氏)

「今ということを考えると、やっぱりコロナで世の中は劇的に変わったと思います。たとえば、リモートワークになってきましたし、ギガスクール構想もそうです。本来、子供たちがタブレットを1台持ってるということは、2年前なら考えられませんでした。このタブレットは今、インフラみたいになってるので、これを活用した新しい事業を考えるのは面白いかなと思ってます」(坂本氏)

 アイディアを着想したときに社会実装するためのテクノロジーはすでに手が届くところにある。実際の経験者が、実際にプロジェクトを成功させるためには、ユーザーのフィードバックを受けることが重要、という話はとても説得力があり、新規事業開発担当者にとっては役に立つエピソードだった。

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