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東北大、コロナウイルスのゲノムに蓄積した進化の痕跡を発見

2022年07月26日 06時36分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをもたらした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含む複数のSARS関連コロナウイルスの全ゲノム配列を比較。その結果、複数のゲノム領域で、長い配列の挿入・欠失、あるいはその両者が同時に起こっていることを確認した。

東北大学の研究チームは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックをもたらした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含む複数のSARS関連コロナウイルスの全ゲノム配列を比較。その結果、複数のゲノム領域で、長い配列の挿入・欠失、あるいはその両者が同時に起こっていることを確認した。 研究チームは、2003年に中国で採取されたSARSコロナウイルス(SARS-CoV)の全ゲノム配列と、2013年に東京大学の研究グループによって岩手県の洞窟内のコウモリから採取されたSARS関連コロナウイルス(Rc-o319)全ゲノム配列を比較した。すると、Rc-o319のゲノムには、2003年のSARS-CoVのゲノムと比較して、少なくとも30カ所以上の挿入・欠失部位が存在し、その多くが10塩基以上の比較的長い配列の挿入・欠失であることがわかった。これらの挿入・欠失部位の多くはSARS-CoV-2のゲノムでは観察されず、日本に生息するコウモリなどの宿主動物の体内で独立して発生し保存されたものと考えられるという。 今後、こうした変異を可能にする宿主因子や分子生物学的な機序が解明されることで、同ウイルスの重大な変異による公衆衛生上の課題や懸念への有効な対処法の確立につながることが期待される。 研究成果は、2022年7月21日に、米国微生物学会のジャーナル・オブ・ウイロロジー(Journal of Virology)誌の電子版に掲載された

(中條)

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