本連載は、マイクロソフトの「Microsoft 365」に含まれるSaaS型デスクトップ&Webアプリケーション(以下、アプリ)「Microsoft 365 Apps(Office 365)」について、仕事の生産性を高める便利機能や新機能、チームコラボレーションを促進する使い方などのTipsを紹介する。今回は「Microsoft Power Pages(以下、Power Pages)」に注目した。
「Microsoft Power Pages」を活用すればワープロ感覚でWebサイトが作れる
ご存じのとおりWebページはHTMLとCSS、そして多数のバックグラウンドサービスで実現している。昔はテキストエディターでHTML/CSSを書いていたが、その後はWebページを逐一表示するWYSIWYGツールが登場した(Microsoftも「Microsoft FrontPage」をリリースしている)。筆者は途中からWebページ作成を止めたため、その後の経緯は詳しくないが、既報のとおりMicrosoftはBuild 2022で、既存の「Power Appsポータル」をPower Pagesへと進化させた。Power AppsポータルはMicrosoft Power Appsのフロントエンド作成ツールという印象が強かったものの、Power PagesはローコードのアプローチでWebサイトを構築するツールへと進みつつある。同社の説明によればテンプレートを活用し、会議予約などビジネスシーンに沿ったWebページを誰しもが作成できるという。
当然Power PagesはMicrosoft Power Platformファミリーのため、Microsoftの各機能を利用できる。たとえば社外の業者と取り引きを行なうためのWebサイトは、アクセスした相手を明確にするユーザー認証が欠かせない。だが、Power PagesならAzure AD(Active Directory)やAzure AD B2C、Googleや各種SNSをIDプロバイダーとして指定するだけで済む。
Webサイト経由でデータを蓄積する場合も、Microsoft Power Platformの中核データベースであるMicrosoft Dataverseを利用できる。他にもPower Automateと連携した自動化、筆者は未確認だがWindows PowerShellによるPower Pages環境へのアクセスや、Visual Studio Codeで直接ファイル編集も可能なようだ。
他にもスマートフォンやタブレットのリアルタイム表示や、PWA(プログレッシブWebアプリ)の利用も予定されているが、Power Pagesが広く浸透まるか否かは、どれだけ具体的なテンプレートを用意できるかだろう。本稿執筆時点では一般的なビジネスサイト、会議スケジュールサイト、放課後プログラムの登録サイトがテンプレートとして用意されており、Webページの編集はワープロ感覚で行なえる。だが、複雑な操作を行なうにはPower Appsの併用が必要だ。このあたりを知識を持たないユーザーでも気軽に利用できるコンポーネントを多数用意すれば、Web作成のハードルも下がるだろう。
学習コンテンツも用意され、プレビュー版で誰でも試せるので、関心をお持ちの方は一度挑戦してほしい。
この連載の記事
-
第61回
Team Leaders
「Copilot for Microsoft 365」のダッシュボードが登場 -
第60回
Team Leaders
生成AIに“本気”なMSが進める「Copilot for Microsoft 365」のアップデート -
第59回
Team Leaders
中小企業にも開放されたMicrosoft Copilot for Microsoft 365 -
第58回
Team Leaders
ハイブリッドワーク時代にデータ漏えいを防ぐ「アイドルセッションタイムアウト」 -
第57回
Team Leaders
ファイル共有ハブへと進化するOneDrive 3.0 -
第56回
Team Leaders
ExcelとPythonが融合! 「Excel in Python」 -
第55回
Team Leaders
プレビュー版でも使えるBing Chat Enterprise -
第54回
Team Leaders
Microsoft 365から特定アプリ(コンポーネント)を除外する -
第53回
Team Leaders
Microsoft 365に加わった新配信チャネルの役割は新機能検証用? -
第52回
Team Leaders
Build 2023で発表されたMicrosoft 365の新機能 -
第51回
Team Leaders
AIによる支援が加わったMicrosoft DesignerはSNS向けソリューション? - この連載の一覧へ