近畿大学、大阪大学、医薬基盤・健康・栄養研究所らの研究グループは、少量の尿から膀胱がんを検知する新しい検査法を開発した。患者への負担が少なく、従来の方法に比べて正確な診断ができるという。
近畿大学、大阪大学、医薬基盤・健康・栄養研究所らの研究グループは、少量の尿から膀胱がんを検知する新しい検査法を開発した。患者への負担が少なく、従来の方法に比べて正確な診断ができるという。 研究グループは、膀胱がんの細胞が尿中に分泌するエクソソーム(細胞由来の直径30~150ナノメートルの膜小胞)に着目。エクソソームは分泌元の細胞に由来する分子を含んでおり、これを調べることでがんの診断や治療法か判定に利用できると考えられている。 具体的には、膀胱がん患者と非患者グループの尿中エクソソームのタンパクを質量分析器で解析した。その結果、膀胱がん患者の尿中で「EphA2」タンパクが増加することを発見。膀胱がんの新しい診断マーカーとした。さらに、尿からエクソソームを簡単に回収する方法も新たに開発し、容易に実施できる検査法として確立した。現在のスクリーニングで一般的な尿細胞診の感度は50%程度だが、新しい検査法は感度が61.1%、特異度が97.2%としている。 研究成果は7月7日、「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)」誌にオンライン掲載された。(笹田)