開発者向け「MapKit」が拓くアプリの新しい可能性
バージョンアップを続けるマップアプリの新機能を、外部のデベロッパも利用できるように「MapKit」のフレームワークも整備されます。
現行バージョンのiOS 15から市街地の地図情報の精度が向上して、米国をはじめとする国々ではよりディティールに富んだマップが見られるようになりました。街のランドマークになる建物がリアルに、かつカラフルな3Dオブジェクトとして表示されたり、高低差のデータも反映されます。
2022年のWWDCでは詳細な地図情報の表示に新しく対応する国や、米国の大都市が追加されることが発表されました。残念ながら日本の街は含まれておらず、この機能が利用できるようになるまであと少し待たなければなりません。
この詳細なマップ情報を、外部のアプリサービスを手がけるデベロッパもMapKitを通じて組み込めるようになります。WWDCの基調講演では電動キックボードのシェアリングサービス「Bird」のアプリ上で、iOSのマップが参照できるイメージが紹介されました。
マップ上の任意の場所を360度の実画像データで見回せる「Look Around」機能の対応エリアは、日本国内にも少しずつ拡大しています。このLook Aroundを使ったサービスも、外部のデベロッパがMapKitを活用して自社アプリに組み込めるようになります。WWDCでは不動産物件情報を提供する「Zillow」アプリによる、Look Aroundの活用事例が紹介されました。
アップルの自社開発による新機能と外部デベロッパとの連携により、iPhone標準の「マップ」はさらに便利に感じられる地図アプリになりそうです。まずは今年の夏からすぐに使える新しい便利機能をぜひ試してみてください。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。