国立環境研究所、東京大学、韓国科学技術院などの国際共同研究チームは、過去最大を超える干ばつが何年も継続して起こるようになる時期を、初めて推定した。地中海沿岸域や南米南部など特定の地域では、今世紀の前半もしくは半ば頃までに、過去最大の干ばつを少なくとも5年以上継続して超える時期を迎え、「これまでの異常」が珍しいものではなくなる可能性が高いことが分かった。
国立環境研究所、東京大学、韓国科学技術院などの国際共同研究チームは、過去最大を超える干ばつが何年も継続して起こるようになる時期を、初めて推定した。地中海沿岸域や南米南部など特定の地域では、今世紀の前半もしくは半ば頃までに、過去最大の干ばつを少なくとも5年以上継続して超える時期を迎え、「これまでの異常」が珍しいものではなくなる可能性が高いことが分かった。 研究チームは、文部科学省の「温暖化影響評価モデル比較プロジェクト」において、世界の研究グループが計算した水文シミュレーション・データセットを用い、1861年から2099年の全球河川流量データを解析。4つの気候モデルによる将来気候予測に基づいて、流域を元に定めた全球59地域について、河川流量の変化に注目して年間干ばつ日数の将来変化を調べた。 その結果、温室効果ガスの排出削減を強く進めた場合でも、今後数十年のうちに従来の記録を超える干ばつが常態的になる地域が複数あることが示されたという。一方で、温室効果ガスの排出削減を進めた方が、継続的な記録超えを迎える時期が遅くなる、もしくは継続時間が短くなることも示された。研究チームによると、これらの結果は、脱炭素社会の実現に向けた緩和策推進の重要性とともに、特定の地域では今後数十年程度の間に適応策を効率的かつ迅速に進める必要性を示しているという。 同研究の成果は、2022年6月28日付で学術誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。(中條)